「世界の建築学部の多くでは女子学生の比率がいまや半数近く。建築や都市、自然環境の問題は女性にこそ身近な問題のはずです。また、本学部は建築家志望の学生にとって、建築教育の世界水準である『UNESCO‐UIA建築教育憲章』で認証された日本で数少ない学びの場。一級建築士試験合格者も多数出しています」

■専用製図机が各学生に

 スタジオでの設計演習が全授業の半分以上。各種ソフトの入ったパソコンが付いた専用製図机が、入学後一人ひとりに与えられる。岡崎学部長は言う。

「1学年45人の少人数制だからできることです。また、建築教育憲章の『建築教育は5年以上』との基準にのっとり、学部4年と大学院2年間の『6年一貫制』を基本としています」

 教員の大半は博士号を持つ研究者で、かつ一級建築士の資格を持つ建築家。学生は学内の一級建築士事務所で実際の設計に参画するほか、毎週土曜の学外フィールドワークやヨーロッパでの研修など濃密な日々を過ごす。岡崎学部長はこう語る。

就職もゼネコン設計部や大手設計事務所などトップ企業に進んでいます。この分野の入社実技試験を突破するには実力あるのみ。学閥は通用しません」

 また、国立の奈良女子大は22年、工学部を設置する。これも女子大では初めて。女子大は家政学部や文学部、といったかつてのイメージは消えつつある。

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年5月17日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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