■失敗するのが怖い人

 米心理学博士で医学博士の鈴木丈織さんも、「新規開拓したい気持ちはあるが、失敗するのが怖い人がリストを重視するのでは」と話す。

「人の心はもともと不安が先行しています。その不安を取り除くため、だれかの経験をヒントにする。日本人に特に多く見られます」

 世代間の差に触れるのは、公認心理師の潮英子さんだ。

「40代前後以上は、学生時代ずっと偏差値や学年順位などを気にしていた世代です。個性を認められず、ブランドのロゴ入りバッグや財布を持ちたがりました。また、バブル世代もクリスマスプレゼントにはティファニーのオープンハートが定番だったり、ワンレン、ボディコンが流行したり。『みんな同じ』が良く、そこから外れたくないという思いがあります」

 一方、今の若い世代は、小さなころから「みんな違っていい」と言われてきた。おまけにデジタルネイティブ(生まれた時から周囲にスマホやネットなどのデジタル技術が当たり前に存在した世代)でネット情報の扱いに慣れており、アプリでスコアを見ても参考にはするが妄信はしない。潮さんはこう話す。

「周囲の20代を見ていると、インスタにアップするためにあの店に行ってみようとはなっても、スコアがいいからおいしい、とはなりづらい印象があります」

 とはいえ、なんでもスコア化が進めば、自分の感覚よりもスコアを重視する傾向が強まっていく。前出の鈴木さんが言う。

「そうなると、飲食店などは万人受けする味やサービスを意識するようになっていくでしょう。評価が分かれる個性的な店は減っていくかもしれません」

 それはあまりに寂しい。「自分だけが良しとするスゴイもの」を大切にしていきたい。(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年5月3日-5月10日合併号より抜粋