そんなぷるこさんが大事にするのが、サステナブル(持続可能)でエシカル(倫理的)な商品やライフスタイルについての発信。フェアトレードのアイスクリーム、オーガニック素材を使った服や動物実験を行わない「クルエルティフリー」のコスメ、お気に入りのエコバッグやマイボトル……。19年6月以来、定期的に投稿を続けている。そこには、自身のコーディネートを紹介した投稿と同じようにファンの反応がある。

■私はこうと気楽に言う

 ぷるこさんがサステナブルについて考え始めたのは3年前。その年の4月、18歳最後の日に自身のアパレルブランドを立ち上げた。精力的に活動したが、シーズンごとに売れ残りが出る。アパレル業界の宿命で、セールでも売れなければ廃棄するのが一般的。しかし彼女は違った。

「各工程に全力で取り組んで作った大切な商品。新品を捨てるしかないことに納得できませんでした。そんなときにサステナブルファッションと出合いました」

 なにも知らないふりをして服を作り続けるのは違うと思い、いったんブランドを休止。サステナブルについて学ぶうちに自身の生活も見直すようになった。

「いろいろな選択肢があるし、個人の思いを人に押し付けることもしたくない。それでも、私はこうですって気楽に言えたらいいなと思うし、知ってほしいと思ったから発信を始めました」

 ファンから返ってきたのは「初めて知った」という声から「私はこう思う」という意見まで、多くが前向きな反応だった。

「少し不安もあったんです。『エコとかハードル高いよね』と思われたらどうしようとか、『ひとりでやっても変わらない』という反応が多かったら……とか。でも、『私もやってみた』『できることから始めます』と前向きな発言をしてくれる人が多くて勇気づけられるし、メッセージや行動が少しずつ広がっている実感がある。いいアクションをつないでいけるよう頑張ります」

 一時休止していたブランドも、サステナブルにリブランディングしてこの春再開する。「好き」を追求しながら、社会課題への発信も躊躇しない。

 前出の廣瀬さんは、インフルエンサーは考えるきっかけや消費選択のきっかけをつくる「橋渡し役」になっていると話す。

Z世代の価値観は『沈黙が美徳』とは対極です。社会問題に対して発信するのが当たり前になるでしょうし、影響力を持つ人も増える。SNSを活用したムーブメントは今後さらに大きくなる可能性を秘めています」

(編集部・川口穣)

AERA 2021年5月3日-5月10日合併号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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