「大学時代には国際協力に関わってきたけれど、卒業後離れてしまった。また何かしたいと思っていたときに原さんを知り、発信方法やアクションに結びつける姿勢に惹かれてサロンにも参加しています」(山崎さん)

 今では、ライターとして国際協力関係の記事をネットメディアに執筆するようになった。ほかにアフリカでの起業を目指す高校生もいる。発信が、具体的アクションに結びついている。

 インフルエンサーたちが牽引するのは、流行や消費に留まらない。社会課題について発信するインフルエンサーは数多く、その声を受け取るのも若い世代だ。社会への無関心が若者の代名詞だった時代は去り、社会課題への興味は、Z世代を特徴づける大きな要素になっている。社会派インフルエンサーのプラットフォーム「RICE INFLUENCERS」を運営するTomoshi Bitoの廣瀬智之代表はこう実感する。

「一昔前は社会問題に声をあげる人を『意識高い系』と揶揄する風潮がありました。しかし、最近の高校生や大学生と接していると、社会問題について意見を言う人が増えたし、それを恥ずかしがる様子も、周りが笑うような雰囲気もない。意識は確実に変わってきています」

■高いエンゲージメント

 インフルエンサーの発信とSNS上の拡散で盛り上がった社会運動もある。週刊誌記事「ヤレる女子大学生ランキング」への抗議や、環境と未来を守るためのアクション「ATO4NEN(あと4年)」。心肺蘇生の普及を目指すTikTok上のキャンペーン「#BPM100」は、2カ月で関連動画が約3千万回再生され、151万件のいいねがついた。社会問題についてスマートに発信し、それが自然に受け入れられる。かつての活動家のような野暮ったさはない。発言することはかっこいい。彼らには、そんな印象を強くする。

 ぷるこさん(22)はインスタグラムを中心にガーリーなファッションやライフスタイルを発信するインフルエンサーだ。インスタのフォロワー3万2千人の多くが彼女と同世代か、女子中高校生。コーディネートを紹介すると、多いときで3千超のいいねがつく。フォロワー数に対してどれだけの反応があるかを表す「エンゲージメント率」は10%を超えることもある。高いエンゲージメント率は、ファンの心を強くとらえている証左だ。

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