■安易な「指摘」の使い方

「そこで何か本当に大事なことを言っていたり、相手の言った間違ったことに対して『指摘』したりならわかります。そうではなく、『政府としては状況を注視していきたいと指摘し』などは『指摘』でも何でもないですし、『述べ』あるいは『言い』で十分です。敬語ではないけど、『相手が何か大したことを言っているかのように』思わせる言い方を、実はメディアはひじょうに安易に使っています。これも、同じ流れの中にある『広い意味での過剰敬語』だと思います」

 たかが言葉遣い、と思うなかれ。メディアの政府や総理に対するおかしな尊敬語は、私たちにもじわじわと効いてきている。(編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年4月26日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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