「しちゃいけないが多すぎる国」に久夛良木健と夏野剛が提言 プレステにつながった“妄想力” (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「しちゃいけないが多すぎる国」に久夛良木健と夏野剛が提言 プレステにつながった“妄想力”

福井しほAERA
Z世代に人気のeスポーツが体験できる空間を導入する計画もある(写真/近畿大学提供。施設はイメージ)

Z世代に人気のeスポーツが体験できる空間を導入する計画もある(写真/近畿大学提供。施設はイメージ)

(左)久夛良木 健さん/1950年、東京都生まれ。75年ソニーに入社。94年に家庭用ゲーム機「プレイステーション」(PS)発売を実現。2022年4月、近畿大学情報学部学部長就任予定 (右)夏野 剛さん/1965年、神奈川県生まれ。米ペンシルベニア大学留学などを経て、97年NTTドコモに入社。iモードの立ち上げにかかわる。2020年、近畿大学情報学研究所所長に就任(写真/近畿大学提供)

(左)久夛良木 健さん/1950年、東京都生まれ。75年ソニーに入社。94年に家庭用ゲーム機「プレイステーション」(PS)発売を実現。2022年4月、近畿大学情報学部学部長就任予定 (右)夏野 剛さん/1965年、神奈川県生まれ。米ペンシルベニア大学留学などを経て、97年NTTドコモに入社。iモードの立ち上げにかかわる。2020年、近畿大学情報学研究所所長に就任(写真/近畿大学提供)

キャンパスの外観(写真/近畿大学提供。施設はイメージ)

キャンパスの外観(写真/近畿大学提供。施設はイメージ)

――一世を風靡した日本の製造業も近年停滞している。プレイステーションやiモードのような革新的なアイデアは、どのようにして生まれたのか。

久夛良木:僕は世の中にない新しいものが大好きで、人と同じことには関心がありませんでした。ただ、やっぱりそれが時代の流れだったんだとも思う。夏野さんの生んだiモードは2000年近辺ですが、モバイルでインターネットにつなごうというのは世界で一番早かったですよね?

夏野:そうです。携帯からインターネットが閲覧できたら、どこからでもアクセスできて便利だろうな、という発想からでした。技術的に可能か不可能かはさておき、何が世の中にあれば面白いだろうという想像を膨らませていました。

久夛良木:プレステもそうで、当時はコンピューターグラフィックスが手元でグリグリ動くなんて考えられないことでした。今のパソコンとは比較にならないほど、原始的なことしかできない。そんな時代だったけど、限りなく進化をし続けるコンピューターが生まれたことで、コンピューターとエンターテインメントを融合させてみたいという僕の妄想が花開いたんです。

■若年層の発信力に期待

夏野:おサイフケータイが実現した原動力は、僕の小銭嫌いです。幼いときから小銭が嫌で、どうにかしてなくしたかった。久夛良木さんが言うように、「あったらいいな」という妄想が可能性につながります。

久夛良木:妄想力は特定の人に備わっているわけでもないよね。『ドラえもん』のひみつ道具が登場したのは1969年で、ハヤカワ文庫からSF小説が出たのは70年代でした。あの頃のSF作家の妄想力ってすごくて、それらはもうほぼ実現されているよね?

夏野:でも「2001年宇宙の旅」はまだ実現されていません。木星には行けていないですよ。

久夛良木:ボイジャー探査機が映像を送ってきてくれてる。今は火星の上にドローンが飛んでいたりするけれど、60年前だったらそれ自体も映画の中だけの話だよね。

 僕は妄想力が大事だと思っているんです。小さい子どもはいろんなことを「わーっ」としゃべりますが、あれは妄想力が豊かだからです。子どもにとっては自分の前にあるすべてが未来だから。その好奇心を忘れずに、学生たちには近未来の社会のニーズを思考してほしい。

――発信力を養ってほしいという思いもある。

久夛良木:学問の新しいコミュニケーション手法を近大発で作れるといいなと考えています。学生が使う共通のプラットフォームができたら面白いことが起きそう。もし僕が学生だったら、吸収できることを核にして、自分たちがそれらの核になって周りをどんどん巻き込んでいきたい。ネットはもともと、いろんな人がつながるツールですから。

夏野:今の若者はインスタグラムやTikTokで私生活を発信することに長けていますが、大学で学んだことや社会で起きていることに対する自分の意見を発信できるようになってほしい。それを推奨する仕組み作りが私たちの役割でもあります。

久夛良木:思考力、妄想力、チャレンジ力を持った学生が入れば、大学は圧倒的に変わります。大学が変われば、日本も変わる。僕も夏野さんも今ワクワクしていますが、先生だけだと空回りするから、みんなでワクワクするような情報学部を作っていきましょう。

(構成/編集部・福井しほ)

※AERA 2021年4月19日号より抜粋


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