オンラインだと意見が出にくいので、最初の設定が肝心です。会議の開催を知らせる段階で「1人2分、最初に話してください」などとルールを決めましょう。議論の途中ならチャット欄に意見を書いてもらうのも有効です。大抵、話し過ぎる人がいるので、タイムキーパーも事前に指名しておくといいです。

■プチ自慢やプチ自虐

 意見を深掘りするために、ファシリテーターも質問してください。「それってこういう意味ですか?」「この認識で合ってます?」と掘り下げていくと他の人の理解も進みます。意見を整理する際、人数が多ければ、オンライン上でグループに分かれる機能を活用し、意見を集約してもらうのもよいでしょう。

 2番目は「自己開示力」です。オンラインでは必要最低限の事務的なコミュニケーションになりがち。特に初対面がオンラインだと、そこでいかに相手の警戒心を解き、その後も関係性を続けたいと思ってもらうかが勝負です。そこで自己開示力が重要になってきます。

 そう言うと、いきなりしくじりエピソードを披露したりする人がいますが、それはNG。相手が気軽に共感したり褒めたりしやすい「プチ自虐」や「プチ自慢」ネタを準備しておくのもお勧めです。例えば「普段、方向音痴で約束の場所に無事たどり着けるかドキドキなのですが、きょうはオンラインだったので迷わずに済んでよかったです」とか。その程度でよいのです。

 3番目は傾聴力・言語化力。察し合うことが難しくなったということは、相手の言うことをしっかり理解すると同時に、自分の思いも言葉で伝える力が大切です。オンラインでは伝わっている実感を持ちにくいので余計、「この人は自分の話を聞いてくれる人だ」と認識してもらうことが大切。最後まで「聴ききる」ように心がけましょう。

 言語化力をつけるには、日常的に、さまざまな出来事について「自分だったら」と考え、持論を持つ訓練が必要です。脳内で「一言で言えば」を付けてから話し始める癖もつけましょう。オンラインでは、リアル以上に「早く本題に入ってほしい」と思われる傾向があるので、要約して話す力が問われます。

 結局、オンラインかオフラインかはあくまで手段に過ぎません。究極の目的は、目の前の相手と気持ちのいいコミュニケーションをして、信頼関係を構築すること。オンラインで力をつければ、リアルでもストレスやトラブルが減り、ものごとがスムーズに進むはずです。(編集部・石臥薫子)

AERA 2021年3月22日号より抜粋