イタリア人にとって家族はなによりも大事な存在です。そんな彼に影響されて、それまでは仕事一辺倒でしたが、両親や家族との時間を自然に多く作るようになりました。

夫:アンジェリーニ・ロベルト[46]
「パスティッチェリア ジェラテリア ビアンカ」営業・販売

Angelini Roberto◆1974年、イタリア・ローマ生まれ。日本への興味から独学で日本語を習得し、2017年から日本の輸入食品会社で営業を担当。19年から「ビアンカ」で菓子製造の補助、営業・販売を担当

 子どものころから日本のアニメや食に興味があったんです。趣味で日本を訪れるうちに縁あって妻と出会いました。イタリアは近年、経済状態が悪く、結婚当初から日本で仕事をしたいと考えていました。来日後、まずは輸入食品の会社で2年半働きました。

 日本とイタリアで働き方の違いを感じることはあります。例えば日本では初めての職場で「なにをやればいいですか?」からスタートすると思いますが、イタリアでは「あなたのできることをやって」と自分の考えで動くことを求められます。上司にも自由に意見を言いますし、ゴールさえ同じならばたどり着くまでのプロセスは重要ではない。ゆえに日本より問題解決がスピーディーだと感じます。

 ただ日本のやり方にも学ぶ点はたくさんある。両方を学んだことで、2019年に妻とオープンしたこの店を軌道に乗せられていると感じます。

 妻は優しくてエネルギッシュ。日々、その姿を見ながら自分も頑張れることに感謝しています。

(構成・中村千晶)

AERA 2021年2月15日号