もちろんゴミを減らす工夫もするべきなのでしょう。おやつや水分は再利用できる包みや容器に入れ、ワイプやティッシュの代わりにハンカチを使うなど。でも、なかなかそこまで手が回らないのが子育て真っ最中の世代です。私自身、以前はリユースやリサイクルに関心が高いタイプでしたが、子どもが生まれてからその辺りはすっかりずぼらになってしまいました。布おむつにも挑戦しましたが、数カ月で挫折しました。もちろん子どもがいても環境意識が高いかたもいて一概には言えないのですが、小さい子どもを抱えながら持ち物は極力再利用、毎回洗って使い回す!って、結構ハードルが高い気がしています。

 特にこのコロナ禍では、再利用についても見直しが行われています。アメリカではシアトルなどの比較的サステナブルな都市でも、パンデミックが始まって以来、飲食店の食器が使い捨てになったり、エコバッグ持参を推奨していたのが紙やビニールの袋を渡すようになったりと、社会が逆行しています。

 話があっちこっちにいってしまいましたが、まとめると、

(1) 子どもと外出すると、おむつなどの不衛生なゴミが出やすい
(2) ゴミを減らす工夫も、子育て真っ最中の世代にはなかなか厳しい
(3) 特に衛生管理に気を配らなければならないこのコロナ禍で、なんでも再利用したりゴミを持ち歩いたりするのは不安

 だからこそ、公共の場にもっとゴミ箱があったらいいのになと思うのです。

 アメリカは、もうそこら中にゴミ箱があります。わが家の近所にあった公園は特にゴミ箱が多く、試しに数えてみたらそんなに広くはない敷地内にゴミ箱が11個もあって仰天しました。公園すぐ横のピクニックテーブルには、四方すべてにゴミ箱が完備されていました。テーブルのどこに座ってもゴミ捨て放題!!!

 ──という近所の公園はさすがにやりすぎで、ゴミ箱の多さはゴミの量を増やすことにつながるだろうしゴミを捨てる職員さんの負担も増えるだろうと思いますが、美観地区ほどゴミ箱を多く設置しているのがアメリカです。

 街をきれいに保つために、「ゴミ箱を増やして放置ゴミを減らそう」と考えるアメリカと、「ゴミ箱をなくして市民に持ち帰りを促そう」と考える日本。まるで正反対で驚いてしまいます。きちんとゴミを持ち帰る人が多いからこそ成り立っているのでしょうが、特に子育て世代には厳しい自己責任社会だよなあと考え込んでしまいます。

AERAオンライン限定記事

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

著者プロフィールを見る
大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

大井美紗子の記事一覧はこちら