公共の場にゴミ箱がたくさん設置されているアメリカ。この公園ではピクニックテーブルの四方すべてにゴミ箱がある(写真/筆者提供)
公共の場にゴミ箱がたくさん設置されているアメリカ。この公園ではピクニックテーブルの四方すべてにゴミ箱がある(写真/筆者提供)

 日本を訪れる人がびっくりすることって何でしょう。品数豊富なコンビニ? コロナ禍でもほぼ満員の電車? 海外在住者を圧倒させる日本文化は数限りなくありますが、そのうちのひとつが「ゴミ箱の少なさ」だと思います。

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 公共の場に、とにかくゴミ箱がない。缶とペットボトル用のゴミ箱はあっても、燃えるゴミ用の箱はない。私は2015年に日本からアメリカへ移って以来1年半に1回は日本へ一時帰国し、このたび本帰国したのですが、帰国するたびに街からゴミ箱の姿が消えているように感じます。駅のホーム、コンビニの前、百貨店のエレベーターホール、公園など、昔は至るところにゴミ箱が設置されていたのに。地下鉄サリン事件以降、テロ対策としてゴミ箱が撤去されているともいいますが、個人的感覚としてはここ6年の間でもさらに減っている気がします。

 とりわけ驚いたのが、児童館のような赤ちゃんがおむつを替える場所にもゴミ箱が設置されていないことです。大抵の場所には「おむつはお持ち帰りください」と注意書きがあります。聞けば、保育園や幼稚園でも「園で出たおむつは保護者が持ち帰る」というルールになっているところがあるそう。防臭効果のあるゴミ袋に入れて持ち帰るのだそうですが、くっさいゲリ気味ウンチをした日には袋の防臭効果なんて消し飛んでしまいますし(うちの子だけ……?)、ウンチ付きのおむつを持ってあちこち歩くのも衛生的にどうやねんと首をひねってしまいます。

 小さい子どもと出歩いていると、とにかくゴミが出ます。紙おむつはその筆頭ですが、道中食べるおやつの包装紙、飲むお茶の容器、おやつの前に手を拭く防菌ワイプ、鼻をかんだティッシュ、よだれを拭いたティッシュ、その他もろもろをぬぐったティッシュなど、まあ出るわ出るわ、汚いゴミがどんどん積もっていきます。でも日本のお父さんお母さんは、それらを持参したゴミ袋にきちんと入れ、子どもをあやしつつ家まで持ち帰ってるんですよね。すごすぎる。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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コロナ禍で再利用の見直し