「私たち保守派はBLMとは違い、ずっと警察をリスペクトしてきたのに」

 彼女は自らを愛国者と呼ぶ。オバマ大統領時代を「奴隷制を生き抜いてきた私たち黒人を“犠牲者”として扱い、生活保護漬けにした結果、経済的自立を妨げた最悪の政権」と評する。

 高校卒業後、母親が経営するローン会社で働き、現在は保守派の人権団体「CORE」で働く。彼女がトランプ大統領を熱烈に支持する理由の一つが、トランプ氏が2017年から実施した「オポチュニティ・ゾーン」という政策だ。低所得者が多い地域に投資を呼び込むための税制優遇などを含む。投資家への税優遇はあっても、職を生み出す点では効果はいま一つという批判もあったが、イニスさんはこう語る。

「民主党がレイシストとさんざんバッシングしたトランプが、低所得の黒人の経済的自立支援を、どの大統領より具体的に提示していた。リベラルは大学無償化や学費ローン免除を訴えるけど、その金銭的負担をするのは誰? 大学の学費を借りなかった人間がその財源負担を税金という形で負わされるとしたら、資本主義の原則に反する」

 一般的に黒人が支持しているとされるBLM運動にも、彼女は反対だ。彼女の祖父は1960年代の公民権運動の牽引者の一人。この祖父の二人の息子たちは、若い黒人たちに殺された。

「KKKの白人メンバーにではなく、黒人によって殺された」

 こうした事実もあるということをBLMは伝えない、とイニスさんは言う。彼女は、「民主党に弾劾罷免されようが、トランプは必ず甦って戻ってくる」と断言した。

■“特権”を有効に使いたい白人の横暴の監視も役目

 イニスさんのようなトランプ支持者たちを「自己愛とエゴの塊のトランプに洗脳されてしまった哀れな人々」と評するのが、ジョージア州アトランタ郊外に住む白人女性のリア・ワーウィックさん(27)だ。

 南部のジョージア州は共和党の牙城だったが、今回の大統領選で激戦の末、民主党のバイデン氏が勝利し、赤から青に変わった。

 さらに1月5日に同州で行われた上院の決選投票でも民主党が2議席とも勝利。これで米上下院とも全て青く染まった。ワーウィックさんは言う。

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