三石琴乃(みついし・ことの)/東京都出身。「新世紀エヴァンゲリオン」の葛城ミサト役などで活躍(写真/本人提供)
三石琴乃(みついし・ことの)/東京都出身。「新世紀エヴァンゲリオン」の葛城ミサト役などで活躍(写真/本人提供)
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 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」が公開された。主人公の声を担当する三石琴乃さんが作品への思いを語った。AERA 2021年1月11日号から。

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「セーラームーン」には、女の子の夢や憧れがギュッと詰まっています。主人公の月野うさぎはドジで泣き虫、勉強も苦手な劣等生だけれど、大事な友だちや身近な人のためには、変身して守ろうとする強さも持っています。苦しんでいる人を見ると、たとえ敵であっても「なんとかしてあげたい」と思ってしまう、共感力が強い女の子です。

 そんなうさぎを演じる私は、当初ほぼ新人。素晴らしい先輩たちに囲まれて、劣等感の塊で。何をしても演技ではかなわないので、「とにかく大きな声を出そう」と思っていました。その無駄なエネルギーが結果的に、うさぎというキャラクターにうまく合ったのかな。

 当時は小さい女の子たちからファンレターをたくさんもらいました。「大きくなったらセーラームーンになりたいです」と書いてありました。子どもの頃に「美少女戦士セーラームーン」を観て、「女の子は守られるだけの存在じゃなくて、大事な人のために戦う強さもある」と感じてくれていたなら嬉しいですね。「作品がスタートした1990年代は女性のリーダーは珍しかったけれど、今は当たり前。社会で自信をもって自分の意見を言う、自分らしく生きる女子が活躍する時代になりました。

 成長したファンの方々は、仕事を頑張っている人、結婚した人、いろいろでしょうが、みんなセーラー戦士のように、目の前の敵と戦っているんじゃないかな。劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」を観て、昔の夢やあのときのトキメキを思い出してくれたらいいな。きっとパワーをもらえると思います。

(ライター・矢内裕子)

AERA 2021年1月11日号