「こくちーずプロ」をはじめ、ネット上では様々な無料の交流会が紹介されている。「弱いつながり」を作るには最適だ(イメージ写真)(撮影/写真部・高橋奈緒)
「こくちーずプロ」をはじめ、ネット上では様々な無料の交流会が紹介されている。「弱いつながり」を作るには最適だ(イメージ写真)(撮影/写真部・高橋奈緒)

「飲み会がなく家族か同僚としか話してない」。アイデア枯渇の原因だ。リモート形式の交流会を活用して生まれる関係が、大きな力になる。AERA 2020年11月9日号は、オンライン異業種交流会の魅力に迫った。

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 ビジネスパーソンにとっては就業時間以外の使い方も重要だ。人脈を広げる飲み会や異業種交流会はコロナ禍でめっきり機会が減ってしまったが、リモートを活用することでそれを補ったり、もっと力になる人脈が作れたりするという。

 10月13日、Zoomを使った異業種交流会をのぞかせてもらった。イベント支援サービス「こくちーずプロ」に登録している名古屋市在住の松若志帆さん(27)の主催イベントだ。

■リアルより心を開ける

 午後8時。約20人の参加者の顔がずらりと並ぶパソコン画面に入室した。参加者が口々にあいさつを交わし、和気あいあいとしたムードが漂う。この交流会は5月中旬以降、毎週火曜日に開催。毎回、参加者のほぼ半数をリピーターが占める。交流会は1時間半。無作為に振り分けられた3~4人のグループを20分ごとに移動して交流するシステムだ。

 筆者が加わった男女2人ずつのグループは、全員がこの会の常連だった。都内在住の契約社員の女性(55)が参加の経緯を話してくれた。

「以前、リアルの異業種交流会に参加したんですが、男性ばかりで、しかもビジネス、ビジネスっていう感じの圧が強すぎて……。その点、この交流会の参加者は20~60代と年齢層が幅広く女性もいるので、いろんな人の人生観や考え方に触れられて勉強になります」

 そして、女性のこんなサプライズ報告に拍手がわき起こった。

「私、会社を辞め、別の仕事に移ることを決意しました。この交流会で皆さんポジティブに生きていらっしゃるのを感じ取れたので、私もいくつになっても再スタートを切れると思い、進路変更することにしました」

 女性の背中を押した一人がこの中にいた、愛知県在住のシステムエンジニアの男性(56)だ。ポロシャツ姿の男性は穏やかな口調で自己紹介を始めた。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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