東京・丸の内のSMBC日興証券本店。証券会社のショーウィンドーといえば外国債券のポスターが多いイメージだったが、今や「投信つみたてプラン」推し(撮影/写真部・高野楓菜)
東京・丸の内のSMBC日興証券本店。証券会社のショーウィンドーといえば外国債券のポスターが多いイメージだったが、今や「投信つみたてプラン」推し(撮影/写真部・高野楓菜)
AERA 2020年11月2日号より
AERA 2020年11月2日号より
AERA 2020年11月2日号より
AERA 2020年11月2日号より

 投資を始める人が増えている。なかでも投資信託への資金流入は急増、3月から5月は連続で1兆円台を突破したという。AERA2020年11月2日号の記事を紹介する。

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 コロナ禍で資産運用を始めた人は多い。一般社団法人投資信託協会の統計によると、投資信託への資金流入額が3月以降に激増。2019年10月、11月は2千億円台だったが、12月は4313億円、1月は5701億円、2月は6041億円。“コロナ・ショック”の3月から5月は連続で1兆円台が投資信託に向かった。直近の9月は7859億円だ。SMBC日興証券ダイレクト戦略部長の丸山真志さん(58)もこう語る。

「当社でも3月以降、投資信託は売れています。外出が減っているので窓口はそれほど変わりませんが、ネット経由が月次平均で約2.5倍になっています」

 人気の投資信託を聞くと、三菱UFJのeMAXIS Slim(イーマクシス・スリム)やニッセイの<購入・換金手数料なし>の名前が挙がり、いずれも米国のS&P500や先進国株式に投資するものが上位だという。売れているのはこうしたコストの安い投資信託で、口座開設者の4割がつみたてNISAを利用しているという。

「テーマ型日本株の投資信託が一番人気だった時代もありましたが、今はS&P500や先進国株式の投資信託が売れていることから、グーグル、アップル、フェイスブックなどの『GAFA』関連に目を向ける方も多い傾向が見えます」(丸山さん)

 初心者からのコールセンターへの問い合わせも増えている。

「相談内容で多いのは、どれをいつ買って、いつ売ればいいのか、というもの。ネットの投資情報サービスは十分に提供していますが、人の声が聞きたい、電話で相談したいという方も多くいらっしゃる。AIを活用したチャットサービスなどさまざまなものがIT化されていますが、このニーズが消えることはないように思います」(同)

 神奈川県在住の会社員の女性(42)は猛勉強の末、今年1月に投資信託デビューした。自身は不動産関連の会社員で、介護関連会社に勤める夫(43)、長男(9)、次男(6)、三男(3)の5人家族だ。

「3人の子どもの教育費と、持ち家のリフォーム代として毎月約20万円を預金していました。せっかくだから投資信託で運用してみたいけど、絶対に減らしたくないと思い、まずは有料セミナーで勉強することに」

 昨年10月にネットで見つけたセミナーに参加した。株式投資コースと投資信託コースのセットで15万円と、安くはない。

「ネットで検索すれば資産運用の無料情報はありますが、どれが正解なのかわからなくて」

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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