また、クラスターが発生した店の利用客の中には、微熱があったのに解熱剤を服用して平熱に下がった後、感染が確認されるまで4回、カラオケ喫茶に行って歌っていた人や、下痢や咳といった症状が出た後にやはり4日間、カラオケ喫茶に通っていた人もいた。

■更衣室で感染拡大

 徳島県の昼カラクラスターは特殊な例ではない。

 6月から9月にかけて、北海道や福岡県、石川県、福井県、和歌山県、茨城県、千葉県、富山県などで昼カラクラスターが発生している。

 感染者のほとんどが高齢者で、1人の感染者が複数のカラオケ喫茶を利用して、感染が広がっている。

 国立感染症研究所は8月、全国で発生したクラスターのうち6種類を「事例集」として公表した。

 昼カラ以外に、職場の会議やバスツアー、キャバクラやホストクラブなど接待を伴う飲食店、スポーツジム、院内感染でのクラスターも紹介している。

 バスツアークラスターでは、武漢市からのツアーで5日間、バスを運転した男性が感染した。運転手は、寒気やせきなどの症状が出てからはマスクをしていたが、発症前はしていなかった。その後、別のバスツアーで運転手と5日間ずつ一緒にバスに乗っていたガイド2人の感染もわかった。ガイドが運転手と会話を交わす時間は短かったが、バスで移動する長時間、運転手の1列後ろの席に座っていた。マスクもしていなかった。

 周知のように新型コロナウイルスは発症前から他の人に感染させる可能性がある。また、飛沫だけでなく、エアロゾル(飛沫より小さな飛沫核)でも感染させる可能性があるとされ、長時間にわたってバスのような閉じた空間に感染者と一緒にいると、感染するリスクが高いとわかる。

 一方、これまでに満員電車でのクラスターは発生していない。短時間、同じ空間にいても、マスクをしておしゃべりをしなければ、感染リスクは高くない。

 スポーツジムのクラスターでは、感染者の利用日時やジム内での滞在場所を比べた結果、更衣室が感染拡大の場所として浮かび上がった。

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