鈴木博文、カジヒデキも参加したカセットコンピにみる 猪爪東風(いのつめ・あゆ)のポップ哲学 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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鈴木博文、カジヒデキも参加したカセットコンピにみる 猪爪東風(いのつめ・あゆ)のポップ哲学

連載「岡村詩野の音楽日和」

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岡村詩野AERA
猪爪東風さん(写真提供:COMPLEX)

猪爪東風さん(写真提供:COMPLEX)

コンピレーション・アルバム『REV.01』のジャケット(写真提供:COMPLEX)

コンピレーション・アルバム『REV.01』のジャケット(写真提供:COMPLEX)

 レコードほどではないもののカセットテープへの興味が若い世代でじわじわと高まっている。昨今のパソコンやスマホで手軽に聴けるリスニング環境に慣れてしまうと、早送りや巻き戻しが面倒、何度も聴いているとテープが伸びる、再生時に「シャー」という音が聞こえる、といった操作性や音質のデメリットは確かにある。だが、その「手間」ゆえに愛らしい、作品が心に残る、という良さがあることに気づき見直した、というリスナーも少なくないのだ。

 「ayU tokiO(アユ・トーキョー)」というユニットで音楽活動をする猪爪東風(いのつめ・あゆ)は、デビュー当初からそんなカセットテープに魅せられているアーティストの一人だ。初期は彼自身の作品をカセットだけで制作、販売するなど、30代の若さながら丁寧に音作りをし、そうした姿勢をパッケージへのこだわりにも反映させていた。普段はギターやベース、サンプラーやリズムボックスなど様々な楽器や機材のリペアを仕事にしていることから、ミュージシャン仲間からの信頼も厚い。作詞作曲、アレンジ、演奏、録音、ミックス、マスタリング、さらにパッケージ制作、入稿、プレス、そして発送や店舗への営業、宣伝に至るまで……。曲が誕生してリスナーに届くまでの全工程の一つひとつに等しく愛情を傾ける稀有な音楽人と言っていいだろう。

 そんな猪爪東風が自ら責任監修したコンピレーション・アルバム『REV.01』を自身のレーベル「COMPLEX」からリリースした。もちろん、カセットテープでの販売がメインだが、デジタルでのダウンロードコード付き販売もある。

 アルバムには自身の「ayU tokiO」を含めた全12組が参加。猪爪が一組一組に声をかけた。それだけではなく、作曲、アレンジの段階から全組の音楽制作に参加。ただの寄せ集めではなく、レーベルとして、プロデューサーとして、どこに力点を置いて作るべきかを丹念に考えながら1曲ずつ完成させていったという。


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