AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:中学・高校と、不安や自意識から夢中になれることもなく、勉強ばかりしていましたが、結局病んでしまいました。それから、自分を見つめ直し、楽しいことを中心に今を生きていこうと決めました。今では趣味も見つかり、心の潤いを感じています。しかし、10代を空費したと時々、暗い気持ちになります。(男性/浪人生/18歳/やぎ座)
A:さらっと書いていますが、本当にすごいことだと思います。楽しいことを中心に今を生きようと決めるのは、なかなかできることじゃないです。
病んでしまうくらいまで一度入り込むと、今度は楽しむのも「楽しまなければいけない」とプレッシャーになってしまう。楽しいって、バランスが難しいことなんです。
10代をほとんど空費してしまったというあなたにお伝えしたいのは、「ムダってすごく大事なもの」ということ。よく言われるかもしれないですけど、聞いてくださいね。
大人になるとどの人も、何らかの形で仕事に関わらなければいけなくなります。仕事とは、予測された成果を出すために努力する行為だと思うんです。気晴らしでやるのは仕事ではないし、こうなったらいいなという希望的観測だけじゃなくて、どうそこに近づけていくか。数値の目標も出てきて、たどり着くために頑張らなきゃいけない。
そんな中、仕事が思った以上に面白く転がったり、仕事で面白い人たちと結びつくことができたり、奇跡を起こす人たちが出てきます。その人たちこそが「ムダを知っている人」だと僕は思うんです。
仕事や勉強に勤勉であることの最大のデメリットは、「予測に対して縛り付けられてしまうこと」だと思うんですよね。それも素敵な能力ではあるのですが、まじめで予測に忠実なだけでは壁にぶち当たる。その壁を越えるときに、一見ムダな経験が力を発揮するんだと思うんです。