新型コロナの感染が拡大している普天間基地 (c)朝日新聞社
新型コロナの感染が拡大している普天間基地 (c)朝日新聞社

 4月にアエラが警鐘を鳴らした通り、在日米軍で新型コロナの感染が拡大している。今は沖縄が中心だが、7~8月は米軍の異動時期。他の地域も人ごとではない。AERA 2020年7月27日号に掲載された記事を紹介する。

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 沖縄の米軍基地で新型コロナウイルス感染者が急増している。7月に入って16日までの感染者は135人。同じ期間、沖縄における沖縄県民の感染者3人と比べ、圧倒的に多い。

 米軍は、普天間基地とキャンプ・ハンセンという二つの海兵隊基地でクラスター(感染者集団)の発生を認めたが、沖縄県に対して感染者の人数を伝えるのみで、米兵なのか、その家族なのか属性を明らかにせず、性別、年代、行動履歴も非公表。約2万5千人とされる在沖米兵のうち、3分の1は基地外に居住しているというのに、これでは沖縄県側が感染症対策の打ちようがない。

 米国は感染者数、死亡者数とも世界最多。日本政府は米国からの入国拒否を続けているが、米兵は例外となっている。日米地位協定により、米兵は入国に関わる一切の手続きを免除されているからで、当然、検疫もない。本誌4月13日号で軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が指摘した通り、日本政府の水際対策は「米軍専用の裏口」がパックリ開いたザル状態だ。

 米軍は米国の会計年度が切り替わるのに合わせて7月、8月に大規模な異動を行い、在日米軍専用施設の7割が集中する沖縄には多数の米兵や軍属が押し寄せている。

 異動による感染者の拡大は、基地を抱える他の自治体にとっても人ごとではない。13日には羽田空港経由で山口県の米海兵隊岩国基地に入った3人の感染が明らかになった。3人は羽田でPCR検査を受けた後、とどまるよう要請されたにもかかわらず、虚偽申告したうえで移動を強行した。

 感染から発症までの平均日数は5日程度とされるため、沖縄での感染拡大が疑われるのは、米国の独立記念日にあたる7月4日前後ということになる。この日は基地内外でパーティーが開かれ、うるま市の肝高公園では管理者の県から許可を得ないまま元米兵の男性が主催する大規模なイベントがあり、米国人や地元住民ら数百人が集まった。

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