小島慶子「コロナ危機で増幅した差別感情 差異を差別にしないために不断の努力が必要」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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小島慶子「コロナ危機で増幅した差別感情 差異を差別にしないために不断の努力が必要」

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小島慶子AERA
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

NHKの情報番組が投稿した、米国の人種差別抗議デモ、BLM(Black Lives Matter)を解説するアニメ動画に「差別的」と批判が起こった。番組の公式ツイッターから(現在は削除)

NHKの情報番組が投稿した、米国の人種差別抗議デモ、BLM(Black Lives Matter)を解説するアニメ動画に「差別的」と批判が起こった。番組の公式ツイッターから(現在は削除)

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【米国の人種差別抗議デモ、BLMを解説するアニメ動画に「差別的」と批判が起こった】

*  *  *
 オーストラリアの産院で唯一のアジア系の赤ん坊だった私は一人だけ真冬の廊下に出され、生後1日にも満たずに人種差別を受けました。もちろん記憶にはありません。白人による先住民の迫害や中国系住民の排斥の歴史を経て、白豪主義から多文化共生にかじを切ってほぼ半世紀。今アジア系移民として生活していると、オーストラリアが懸命に融和の努力を重ねてきたことがうかがえます。それでも、社会の主流が白人であることに変わりはありません。

 17歳の夏休みに、ニューヨークに行きました。すれ違いざまに「チャイナドール!」とからかわれ、白人富裕層の住む地域を歩いている時には居心地の悪さを覚えました。その翌年の夏休みはインドのニューデリーに滞在。日本人はインドの上流階級の人々にとってはビジネスのパートナーではあるけれど、決して同等の存在とは見なされていないことを感じました。

 自分の肌が黄色味を帯びていることに気づいたのは、そうしてさまざまな色の肌の人に出会ってからです。黄色くて猫背で出っ歯でメガネという日本人を揶揄(やゆ)するイラストも目にしました。自分にはどうにもできなかったことで、どう扱われるかが決まる。理不尽だと思いました。

 人種差別は人の心の中にあります。アメリカの黒人差別抗議運動に対して世界中で支持が広がっているのは、人種差別が今もなお多くの人を殺しているからです。

 コロナ危機ではアジア人差別が激化しました。もともとあった黄色人種に対する嫌悪感が、新型コロナウイルスの流行によって増幅したのです。

 日本人である自分は人種問題と無縁だと思う人は、その無関心こそが差別の温床だと知ってほしいです。日本にも多様な人が暮らしています。差異は身の回りにあります。それを差別にしないためには不断の努力が必要なのです。

AERA 2020年6月22日号


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