彼らはチンボラソ山を使って、この実験を行ってみたのだ。

 結果は、地球の密度は思った以上に高い、というものだった。つまり地球の内部は、空洞などではなく、山の岩石などよりはるかに重い鉄のような物質がぎっしり詰まっている、ということが初めて示唆されたのだ。

 日本でいうと江戸時代中頃、地球規模でこんな壮大なことを考えていた人々がいた。このことがその後、地球全体が巨大な磁石であることや見えない磁力線に覆われていることなど、地球科学の大発展につながっていったのである。

 そんなことに思いを巡らせているうちに、飛行機はあっという間にグアヤキルの空港に到着した。

○福岡伸一(ふくおか・しんいち)/生物学者。青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員教授。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授を経て現職。著書『生物と無生物のあいだ』はサントリー学芸賞を受賞。『動的平衡』『ナチュラリスト―生命を愛でる人―』『フェルメール 隠された次元』、訳書『ドリトル先生航海記』ほか。

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福岡伸一(ふくおか・しんいち)/生物学者。青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員教授。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授を経て現職。著書『生物と無生物のあいだ』はサントリー学芸賞を受賞。『動的平衡』『ナチュラリスト―生命を愛でる人―』『フェルメール 隠された次元』、訳書『ドリトル先生航海記』ほか。

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