いずれも信託報酬の安さを強調したシリーズで、「他社が下げればうちも下げる」という個人投資家サイドから見るとうれしい展開が続いている。

 シェアが低いから悪いというわけではないので、自分が口座を持っている証券会社や銀行で買えるシリーズから選ぶのも悪くない。

■長期で見れば右肩上がり

「手数料が高いのに運用成績の悪いアクティブファンドを何も知らずに買うより、市場の平均値といえる指数とひたすら連動することを目指すインデックスファンドに投資するほうが、コスト面でも、長期的な運用成績の面でも有利です」(若林さん/以下同)
 
 米国のNYダウやS&P500といった株価指数は、太平洋戦争終了後から75年もの間、一貫して右肩上がりの上昇を続けている。

 新型コロナウイルスの影響で現在はどの国も予断を許さない状況だが、これまでもリーマン・ショックなどによる暴落は幾度となくある。長期で見れば現在の下げもチャートの谷に過ぎないーーとわかるのは10年以上先の話だろう。

 ドイツ株のDAX指数や新興国の株も含まれるMSCIオールカントリー・ワールド指数などは昨年末から今年にかけて過去最高値を更新していた。

 黙って海外の株式に投資するインデックスファンドに長期に積み立て投資をしていれば、多少の浮き沈みはあるものの、トータルで見て上昇となる可能性は十分にある。

「インデックスファンドのシリーズは、どれもコストがリーズナブルで単純な仕組みのものが多いです。国内株式や先進国株式など、主要な指標は押さえています。

 アメリカやイギリスなど先進国の株式のインデックスファンドを買いたいと思ったら、信託報酬というコストを比較して一番安いものを買えばいいだけ。これなら初心者も選びやすいと思いますよ」

(取材・文/木村慎一郎、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERA Money 今さら聞けない 貯金の基本』の記事に加筆・再構成