外出がしにくいこの長期休みをどう過ごしたらいいのだろう。AERA2020年3月16日号は、親子で悩みながら、それぞれの家庭独自のやり方を見つけている実情に迫る。
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「緊急家族会議を開くよ」
2月28日の晩、大分県に住む、人材育成コンサルタントの佐藤陽平さん(43)宅では夕食後、緊急の話し合いが開かれた。議題は、中学2年の長男、世壱(よいち)くん(14)と小学6年の次男、創咲(そうさく)くん(11)に降って湧いた、1カ月の長期休暇を「どう過ごすか」。
佐藤家でひときわ存在感を放つのが、リビングにある縦60センチ、横90センチの大型ホワイトボードだ。子どもが幼少のころから佐藤さんは家族会議を大事にしてきた。
「ピンチをチャンスと捉え、家族で乗り切ろう」
佐藤さんは子どもたちにそう語りかけた。子どもたちはホワイトボードに勉強や検温、運動など「やらなければいけないこと」をまず書き出した。次に「チャレンジしたいこと」だ。料理好きの長男は麺やパン作り、筋トレにはまっている次男は筋トレマシン作りなど。普段、学校の勉強や部活に追われ、「まとまった時間があったらやりたい」と思いながらできていないことがいろいろあることに気がついた。さらに、無人島一周、英語がしゃべれるようになりたい、と夢は広がった。
平日は、学校がある時と同じタイムスケジュールで過ごし、昼ご飯は自分たちが作る、と兄弟は決めた。佐藤さんは言う。
「子どもたちが自分で決めたので、スケジュールに沿って生活しています。やらないといけないことだけでなく、やりたいこともリストアップしたのがポイント。やりたいことのために、やらないといけないことを片づけようとする。せっかく得たまとまった時間。何か達成感が得られるといいですよね」
長期休みをどう過ごしたらいいのか──。佐藤家のように家族会議を開いた家庭は少なくないだろう。「極力家で過ごすこと」が要請され、部活や塾、スポーツセンターなども閉じ、子どもたちは行き場がない。