ベジタリアンより厳しい食生活のイメージのあるヴィーガン。肉や魚のみならず、卵や乳製品、蜂蜜なども口にしない。そんな「厳格」であるはずのヴィーガンだが、SNSでゆるくつながり完璧を目指さない新世代ヴィーガンたちがいま注目されている。
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「ヴィーガンなんですか?」
「9割ぐらいかな」
「あ、私も一緒」
今年2月、日本ヴィーガンコミュニティが東京・渋谷のカフェで開催したスイーツイベントに、20人ほどの男女が集まった。多くが20代だ。
テーブルに並ぶのはチョコレートケーキ、チーズケーキ、瓶に入ったプリンなど。これらはすべてヴィーガンスイーツ。つまり、卵や牛乳などの動物性食品を一切使わずに作られている。
「ヴィーガンに対するステレオタイプを壊して、ヴィーガンという選択肢をもっと気軽に楽しく試してもらいたい」
イベントの主催者の一人、山崎由華さん(23)が説明する。
イギリスのヴィーガン協会の定義によればヴィーガニズムとは「動物を搾取することなく生きるべきであるという主義」のことで、ヴィーガンはそれを実践する人を指す。ベジタリアンが肉や魚を食べないのに加え、ヴィーガンは卵や乳製品、蜂蜜を含む動物性食品を口にせず、革製品や動物実験を行った商品も避ける。
ヴィーガン人口は世界で急増しており、日本でも近年ヴィーガン対応メニューを導入する店が増えている。
ヴィーガンを志す主な理由は、(1)動物愛護(2)自身の健康(3)環境保護、の三つと言われる。(1)は多くのヴィーガンに共通するが、(2)と(3)は世代によって分かれる傾向があるという。
「上の世代は健康のためにヴィーガンになった人が多いのに対して、私たち世代は環境のためにヴィーガンという選択をする人が多いように感じます。このイベントも“ヘルシー”“ビューティー”などの利己的なテーマではなく“サステナブル”“エコ”など社会問題をテーマにしています」(山崎さん)