──国語の実用文の出題をはじめ、英語でCEFR(セファール/ヨーロッパ言語共通参照枠)を参考指標として活用するなど、共通テストは22年度から施行される新学習指導要領を先取りしているのではないか。21年1月からの実施は適切なのか、といった声も上がっています。

 プレテストや来年の共通テストは全て現行の指導要領と教科書を前提に作問しています。実用文も今の国語の教科書に掲載されています。CEFRはそもそもコンテンツとして示しているものではありませんし、文部科学省作成の手引きでもすでに使われています。センター試験が長年続くなか、学習指導要領の改訂があっても、逆に十分反映しきれていない側面もありました。例えば理科(2)で選択問題が設けられていますが、旧指導要領の選択領域を反映したもので、現行の指導要領にはありません。共通テストへの移行を機会に、より指導要領に沿うかたちにしたため、乖離(かいり)が生じたように見えたのかもしれません。

──今後、プレテストやサンプル問題の提示の予定は?

 予定していません。試験作成のための調査としてはこれまでの結果で十分と判断しています。また、受験生に対しても、問題作成方針とあわせて新しい問題の方向性も提示できていると考えています。

──では、共通テストに向け、受験生は何を手がかりに勉強すればいいでしょうか。

 試験の問題作成方針はこれまで表に出してきませんでしたが、共通テストでは昨年6月に発表しています。普段の授業に加えプレテスト、それにセンター試験も当然参考になると思います。良問は受け継いでいく方針ですので。

──先ほど、共通テストとセンター試験は内容は大きく変わるというお話でしたが。

 センター試験も共通テストも、実は問うていることは変わりません。「学びの本質的な理解」です。違いは、問い方のアプローチです。共通テストでは、例えば歴史で教科書にない初見の資料を出します。片っ端から資料を暗記するような勉強では対応できないと思いますが、学んだ知識を関連づけ、資料をどう読み解くかが身についていれば解けます。重視しているのは、知識の再生ではなく、知識の「活用」なのです。

(編集部・石田かおる)

AERA 2020年2月24日号より抜粋