──民間試験で4技能を測ることを前提に、共通テストではリーディングとリスニングの2技能に特化。このため、これまでスピーキングとライティングの力を間接的に測っていた「発音、アクセント、語句整序問題」をなくしました。ところが、民間試験がなくなった後も「問題作成方針に一切変更ない」ことに疑問の声が上がっています。

 センターとしては、測定できる技能の範囲が減っているとは考えていません。もともと、センターの英語は廃止し、民間試験だけにするという話が16年に持ち上がりました。しかし、受験生への配慮から23年度までは暫定的に継続することになりました。そもそも、4技能を別枠で測るのに、2技能に「特化」した試験をセンターで作るというのもおかしな話です。本来、4技能は切り離されているものでなく、連携して発揮されるものです。ですから2技能に「特化」というよりは、2技能を「中心」に英語の力を総合的に測る、というのがセンターの考えです。

──では、民間試験がなくなった後、スピーキングとライティングの力を間接的に測ってきた「発音、アクセント、語句整序問題」を復活させなかったのはなぜですか?

 これらの問題はコミュニケーションの場面と切り離され、単独で出題されてきており、批判の声もずっとありました。試験改善の観点からなくしました。

──結局、英語民間試験と記述式という大きな2本柱がなくなったのに、変更は国語の大問数と試験時間のみ。微調整にとどまりました。試験設計の抜本的な手直しがなかったのは、時間的な制約からでしょうか。

 それは違います。センターの側からすると、英語民間試験と記述式問題が「共通テストの2本柱」と報じられることに違和感がありました。マーク式の問題は30科目に及び、共通テストの目指す「思考力・判断力・表現力等」の測定や「学びの意義」の具現化を模索し追求してきました。ですから、二つがなくなったからといってマーク式部分の大きな方針が変わるわけではありません。もちろん、記述式についてはなくなった分、問題作成上の調整は必要になっていますが、抜本的な方向性を変えないといけないというものではありません。

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