車いすに乗る高校生や大学生からは「公園に行っても何もできずに見学するだけだった」「砂場で遊べなかった」という体験が語られた。一方、健常児の母親からは「障害を持つお子さんと一緒に遊ばせたい気持ちもあるけれど、息子が相手のお子さんにケガをさせてしまったらと思うと、怖くて」という本音も出た。

 班替えとなり、今度はさまざまな立場の人が一緒に話し合った。重症心身障害児の支援に取り組むNPO法人地域ケアさぽーと研究所理事の下川和洋さんが、遊びを導き、サポートする「遊びサポーター」を置く案を出すと、車いすユーザーの11歳の息子を持つ小薗妃路子(こぞのひろこ)さん(52)は、「子どもの自立のためにも、親と離れて遊ぶ経験は大事。サポーターがいれば、親が一緒にいなくても遊べる」と歓迎する。

 最後に班ごとに理想の遊び場を発表。体幹が弱い子どもでも遊べる遊具、触って感触や音を楽しむ遊具などの提案のほか、激しく動ける場とごろごろできる場を設け、選べるようにするなど、さまざまなアイデアが出た。8歳の娘・凛さんが特別支援学校に通う山下茜さん(37)もこう期待する。

災害が起きたときに避難所に指定されている学校には知り合いがいないから、もしものときに不安。でも、誰もが気軽に遊べる公園ができて、この子が地域のみんなの中で成長できるのなら、ものすごく心強いことです」

(編集部・深澤友紀)

※後編「障害があっても『公園で遊ぶ』をあきらめない! 東京都の『誰もが遊べる場』作り」へ続く

AERA 2020年1月27日号より抜粋