「私は主催者としてあいさつや招待者の接遇は行うが、招待者の取りまとめなどには関与していない」

 この問題発覚後、安倍首相は「来年の桜を見る会を中止する」と自らの口で発表し、早期の幕引きを図ったが、それによって逆に潮目が変わったと、ある自民党議員は言う。

「森友、加計の問題が発覚して以降、閣僚などの身内が引き起こした問題で追及されることはあっても、首相自身が直接、関与する問題が国会で取り上げられることはなかった。だからこそ、早期の幕引きを図ったが、国会ではなく、ぶらさがりの記者の前で質問も受けずに一方的に発表したものだから、逆にその態度が不誠実に国民の目に映ってしまった。ここに疑惑があると自ら宣言したようなものだ」

 新たな疑惑も発覚した。桜を見る会の前日に行われた夕食会の会費の問題だ。その「前夜祭」が行われたのはホテルニューオータニ東京(千代田区)の宴会場。立食形式で会費は1人5千円だった。14日、この問題を調査する立憲民主党の石川大我参院議員は、独自に同ホテルにパーティーの見積もりを依頼し、桜を見る会に招待された首相の後援会約850人と同規模の800人で試算を出してもらうと、1人当たり「1万3127円」だったと発表した。

 アエラも同ホテルに確認した。少なくとも「5千円の予算でパーティーは受け付けていない」との回答だった。では、いったい誰が差額を支払ったのか。仮に首相サイドが補填していたとすれば、冒頭の公職選挙法に抵触する恐れがある。

 9月の内閣改造後、2人の大臣が公職選挙法違反の疑いのある事案を週刊誌に報じられ、辞任した。今度は首相本人が説明責任を果たし、出処進退を明らかにしなければ、国民が納得しない。(編集部・中原一歩)

AERA 2019年11月25日号