小枝やどんぐりで子どもたちが作った「遊園地」の一つ
小枝やどんぐりで子どもたちが作った「遊園地」の一つ
どんぐりを見つけた子どもたち。何の木のどんぐりかも気になる
どんぐりを見つけた子どもたち。何の木のどんぐりかも気になる

 ぷれりか(幼児)クラスで取り組んできたダンゴムシ探究もいよいよ終盤戦です。

【どんぐりを見つけたときの様子はこちら】

 これまで我々は、ダンゴムシがどのような食べ物を好むのか、動きにはどんな特徴があるのか、実験で調べてきました。

 また、絵本の読み聞かせやNHK for Schoolの動画鑑賞でその生態について理解を深めてきました。

 子どもたちはここ数週間の活動を通じて、ダンゴムシにすっかり愛着が湧いたようです。

「さらに調べてみたいことややってみたいことはある?」

 ある日の授業では少し趣向を変えて、彼らからのリクエストを受け付けました。

「えっとね、遊園地を作ってあげたい」

 真っ先に手を挙げた女の子が元気よく答えてくれました。

 飼育用の容器の中に遊園地を作り、ダンゴムシを楽しませてあげたいとのこと。このユニークな意見にクラスメートも賛同します。

 そこで子どもたち各自に持ち帰り用の袋を手渡し、早速みんなで遊園地の材料を拾いに出かけることにしました。

 普段から慣れ親しんだ鴨川デルタには遊園地づくりに使えそうな素材がたくさんありました。

 小枝、落ち葉、河原の小石、ねこじゃらし、笹の葉のような草。ぷれりかキッズは容器の大きさも考慮して、拾うものを慎重に選びます。

「あっ、こんなところにどんぐりが落ちてる!」

 その声につられて下を見てみると、秋らしく可愛らしいどんぐりが転がっていました。

 うろこ状の殻斗(ぼうし)から判断するに、どうやらコナラのどんぐりのようです。予期せぬ発見に一同テンションが上がります。

 気持ちの良い秋空の下、久々に鴨川デルタをのんびり散策した今回の外出。各々お気に入りの素材を見つけることができただけではなく、大人も子どもも開放的な気分になり、大変充実した時間になったように思います。

 教室に戻ると、早速遊園地製作の開始です!

「このあたりに滑り台があったら良いかも」

「葉っぱタワーを作ってみよかな。そしたら登り疲れても、食べながら休めるし」

「日陰になって、ダンゴムシが隠れられる場所も要るなあ」

 拾ってきたものを机に広げ、それらを眺めながら、いろいろアイデアを膨らませていきます。

「木の枝と木の枝を横にくっつけたいんだけど、どうすればいいんやろ……」

 ある女の子は、面白いアイデアを思いついたものの、それをどう実現すればよいか困っていました。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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