「海外放浪」就活で不利はもう古い? 企業が評価する能力は… 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「海外放浪」就活で不利はもう古い? 企業が評価する能力は…

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川口穣AERA
目白大学経営学部 有田塁さん(22)/昨年、旅人採用の合同説明会で見たシンクスマイル人事部長・野口政裕さんのプレゼンで、同社を志望。内定し、2020年4月入社予定(撮影/編集部・川口穣)

目白大学経営学部 有田塁さん(22)/昨年、旅人採用の合同説明会で見たシンクスマイル人事部長・野口政裕さんのプレゼンで、同社を志望。内定し、2020年4月入社予定(撮影/編集部・川口穣)

「海外放浪」の経験は、はたして就職活動に不利なのか。実はいま、企業は旅で培われた突破力がある学生を求めている。AERA 2019年10月21日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *
 企業側は旅人を求めているのだろうか。旅の期間は、履歴書的には「空白」になる。記者(31)と同年代の旅好きたちも、就活の際に「遊んでいたことを評価できない」「すぐにやめるのでは?」などと面接担当者に言われたという。

「旅人は使えない? いえいえその逆ですよ」

 ITベンチャー「シンクスマイル」の人事部長、野口政裕さんはそう笑う。シンクスマイルでは来年4月入社予定の新卒学生9人のうち、5人が旅人採用経由だ。採用したいのは「熱くて、賢くて、話していて気持ちよくて、タフな学生」。旅人の多くが持つ「答えのないものに対して挑戦する心」はそんな採用方針にも通じるという。

「好奇心を持ってやってみる熱量、ゴールが見えなくても一生懸命泳ぐチャレンジ精神、トラブルにめげないタフさ。あらゆる旅人マインドがうちにマッチすると思います」(野口さん)

 目白大学4年の有田塁さん(22)は旅人採用経由でシンクスマイルに内定し、来年4月に入社予定。20歳の誕生日目前に初めてバックパックを背負ってひとりでタイ旅行に出かけ、旅にはまった。その翌年には、1カ月超をかけて東南アジアを周遊。卒業前にメキシコへの旅を考えているという。

「旅をきっかけに、自分の小さな行動が変わった気がします」

 片道5時間もかかる自宅に自分を招待しもてなしてくれる人、たったひとつのココナツジュースを自分より小さな仲間にすべて飲ませる物乞いの男の子……。旅先でのひとつひとつの出会いから、周りに流されることなく目の前のことに向き合い、他人にやさしく行動できるようになった。就活では旅の経験を言語化するのが難しかったが、シンクスマイルにはひとりで飛び込む行動力を評価されたそう。

 社会課題解決型のビジネスを手掛けるLIFULLは、グループで従業員1千人を超えるメガベンチャー。創業当初と比べるとより多くの学生が選考を希望するようになった一方で、チャレンジ精神よりも安定志向の学生が増えつつあったため、今回のイベントに参加した。

「学生からこれだけガンガン質問がきたイベントはあまり記憶にありませんね。自分から情報を取りにいく積極性や主体性は新鮮です」

 と、新卒採用を担当する内海直人さん。採用したいのは社会課題の解決に向けて主体的に動けるチェンジメーカーだ。

「旅するということは、目標を持って主体的に動けている可能性が高いと思います。また、海外で新しい文化や価値観に触れることで社会にある課題を見つけるかもしれません」(内海さん)

 旅人採用の登録者は、スタートから1年半で新卒学生1889人、既卒者1781人に上る。求人を出す企業は200社を超え、すでに新卒学生30人が旅人採用経由で入社または入社予定。旅人採用の運営を担うダイブの田村彰康さんは言う。

「旅人を明確な採用ターゲットにしている会社はまだ多くありません。でも、企業に旅人人材について話すと、『確かにうちの会社でもあいつがそうだな』となる。旅人の強さは、多くの企業が潜在的に知っています」

 好奇心とそこへ飛び込む主体的な行動力、トラブルに対処する課題解決力やタフさ、環境のせいにしない前向きさ……。旅人たちは、企業が求める能力やマインドを身につけている。(編集部・川口穣)

AERA 2019年10月21日号より抜粋


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