蜷川:私が印象的だったのは「こんなにみんながモニター前に来てくれる現場があるんだ」ということ。小栗君が来てくれたからだと思うけれど、私のまわりに椅子を持ってきて、みんなでモニターを見てわちゃわちゃしていた(笑)。「次のシーンどうする?」という話も自然にできて、有意義だった。小栗君が横にいて、「あ、(二階堂)ふみちゃんが来た」という感じで。

小栗:(宮沢)りえさんもずっといましたしね。

蜷川:ずっといてくれたね。やっぱり小栗君がいるから来てくれたんだと思うな。

小栗:僕は雑談したりして、監督のそばにいることは多いですね。実は、俳優は居場所がないんです(笑)。現場にいるか、通路にいるか、もしくは楽屋にいるかですが、僕は基本的に楽屋を使わないので。「僕の楽屋代をお弁当代に回してもらってもいいのに」とさえ思います。「どこにいるのがいいか」と考えると、監督の横は居場所がある。もちろん、監督によっては「あまり近寄らない方がいいかな」と感じるときもありますけど(笑)。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2019年9月16日号より抜粋