「FEELCYCLE」自由が丘店のレッスン風景。インストラクターは指さしなどして、利用者のボルテージを高める(撮影/写真部・東川哲也)
「FEELCYCLE」自由が丘店のレッスン風景。インストラクターは指さしなどして、利用者のボルテージを高める(撮影/写真部・東川哲也)
b-monster銀座店では、平日午前にもかかわらず多くの利用者が集まり、思い思いにジャブとクロスを打つ(撮影/写真部・東川哲也)
b-monster銀座店では、平日午前にもかかわらず多くの利用者が集まり、思い思いにジャブとクロスを打つ(撮影/写真部・東川哲也)
暗闇の中でトランポリンをする「jump one」でも音楽に合わせてステップする(写真:jump one提供)
暗闇の中でトランポリンをする「jump one」でも音楽に合わせてステップする(写真:jump one提供)

 筋トレにダイエット。これまでに数多のエクササイズが日本中を席巻したが、最近のトレンドは「暗闇」にある。「ジム通いが恥ずかしい」記者が最先端の「暗闇フィットネス」を体験した。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。

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 これまでにも、ジムやヨガに通ってみたいと思ったことはあった。ヨガスタジオを訪ねたこともある。でも、1回で離脱した。もはや「通っていた」と言っていいのかさえ疑問だが、どうにもこうにも続かない。

 理由はいくつかあって、まず面倒くさいこと。もう一つに、周りの目が気になって恥ずかしくなる、という気持ちもあった。だが、こうした不安を引き受けてくれる「暗闇フィットネス」があると聞き、今回こそはと足を運んだ。

 まずは、米ニューヨークから2012年に日本上陸したバイクフィットネス「FEELCYCLE(フィールサイクル)」へ。暗闇のなか、大音量の音楽を体中で浴びながらバイクを漕(こ)ぐことで爽快感を味わえるという。

 東京・自由が丘のスタジオには65台のバイクがずらりと並ぶ。サドルの高さを身長に合わせ、バイクに腰掛ける。しばらくするとスタジオの照明が落ちた。ペダルを勢いよく踏み込み、暗闇フィットネスが始まった。

 事前取材で「最初はついていくのに精いっぱい」と聞いていたが、思ったより心に余裕もあった。

 だが、練習パートが終わると、バイクの上で腕立て伏せをする「プッシュアップ」の動きが入ってきた。ペダルを漕ぎながらの腕立て伏せに、リズムが乱れていく。畳みかけるように、肘(ひじ)を内側に下げる「エルボーダウン」も組み合わさり、何の動作をしているのかがだんだん分からなくなってきた。

 ふと顔を上げると、ステージ前に陣取ったおそらくベテランであろう男性たちが、なんともリズミカルにバイクを漕いでいる。しかも全員がインストラクターのMeiさんを見ながら、だ。一様に同じ方向を見つめている光景は不思議な一体感があり、シュールだった。だが、こうも感じた。

「誰も私のことなんて気にしていないんだ」

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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