在韓米軍の撤退はもはや既定路線 田岡俊次が朝鮮半島の軍事バランスを分析

2019/09/11 07:00

 03年に始めたイラク戦争が長期化したため、米軍は韓国に残っていた「第2歩兵師団」に属した2個旅団のうち、1個旅団を04年にイラクに投入した。イラク戦争が一段落してもその旅団は韓国に戻らず本国に帰った。1個旅団(約4700人)が主体となった「第2歩兵師団」は今や名ばかりで、その人員も常駐ではなく米本土から交代で派遣されるようになった。

 かつてこの師団は司令部をソウル北方約20キロの議政府(ウイジョンプ)に置き、北朝鮮軍がソウルに向かう主要経路を押さえていたが、17年7月、ソウル南方約60キロの平沢(ビョンテク)に移駐。在韓国軍司令部なども18年6月そこに移った。北朝鮮軍の多連装ロケット砲や長距離砲による損害を避けると共に、平沢には港があり、烏山(オサン)米空軍基地にも近いから、世界の他の地域への出動に便利なためだ。沖縄の米海兵隊が他の地域への出動のために沖縄で待機しているのと同様だ。

 韓国に駐留する米空軍が司令部を置く烏山基地はソウルの南約50キロ。ソウルの南約170キロの群山(クンサン)基地と合わせ米空軍の戦闘機・攻撃機はわずかに計84機だ。

 韓国空軍も烏山に作戦司令部を置き、戦闘爆撃機F15K59機とF16戦闘機163機が主力。国産の戦闘攻撃機FA50が50機、軽戦闘機F5が174機、旧式のF4Eが60機で、戦闘機・攻撃機は計522機。ステルス戦闘機F35Aも40機購入予定でF4Eと交代する。空中給油機はエアバス社にA330を4機発注、早期警戒機はボーイング737旅客機を基礎としたものが4機だ。在韓米空軍よりはるかに機数が多く、近代化も進めている。

 北朝鮮空軍の戦闘機はほとんどが70年代以前に登場した旧式で、新しいものはMiG29が18機だけ。90年にソ連が韓国と国交を樹立してからすでに29年、部品の購入が困難で飛行可能なものはごく少ない。このため韓国空軍は防空に力を入れる必要が薄く、爆撃に集中でき、米空軍への依存度は高くない。

 北朝鮮陸軍は兵員110万人と推定されるが装備はひどく旧式で、洞穴陣地から出れば、航空攻撃で壊滅する公算が大だ。

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