トミーは、サブチャンネルに加え、コンビのマネジメントも担当する。少し先の企画が法的に問題ないかどうか、協力者とのスケジュール調整、企業とのコラボ、イベントの準備や交渉も行う。彼が考えるのは、「自分たちが動いたときに出る効果を、どの方向にプロデュースするか」。連日所属するUUUMに顔を出し、1日2回、3回と足を運ぶことも珍しくない。

「YouTubeはスピード感が大切。動画は毎日更新されて、自分たちの状況もファンの状況も日々変わっていくから、少し先の未来が想定しづらい。朝打ち合わせに来て、夕方どうだった? と聞くこともあります。今よりもっと速くしたい」(トミー)

 二人の出会いは、青山学院大学在学中のお笑いサークルだ。お互いにダウンタウンが好きで意気投合し、コンビを結成した。いつしか夢はコンビで活動し、食べていくことに。ライブハウスのステージにも立っていた。

「ステージでネタをするのは楽しくて、だけど、それってライブハウスじゃないとできないことかな?って」(トミー)

 ライブハウスの客は、時には雨が降るなか、電車賃も払って見に来てくれる。だが、十数組が入れ代わり立ち代わりで、目当ての芸人の出番は数分程度。

「ぼくらもほんの少しの出番にすべてをかけて、チケットをさばいて……時間も機会ももったいない、と感じていました」(同)

「総合文化政策学部で映像系の勉強をしていて、編集も学べる環境でした。これからは世の人全員がネットで発信する時代になるという話はよく聞いていました」(カンタ)

 ダウンタウンを見て育ち、彼らに憧れたからこそ、時代の変化も、敏感に捉えていた。

「もし、トップの芸人たちがいまの時代に生まれてきたら、どこで何をしたのかな。若いうちにたくさん喋らせてもらえるわけじゃない。テレビが世に出て普及したときの熱量を考えると、ネットで挑戦すべきなんじゃないかと思ったんです」(カンタ)

「そういう意味で、YouTubeは最強の環境でした。好きな時間に好きな場所で、全員が最前列のど真ん中のVIP席で見られる。ソファやベッドに寝転がっていてもいい。しかも、ライブハウスと違って、キャパシティーは無限大です。そんな環境で結果が出せなかったら、ぼくらが面白くないということでしょう」(トミー)

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