ホンダのレーサー開発は2000年から。車いすマラソンに出場していたグループ企業の従業員が自ら乗るレーサーづくりがきっかけで、本田技術研究所と子会社の八千代工業、ホンダR&D太陽の3社が選手と一緒に開発を進めてきた。

「翔」は飛行機の翼のようなフレーム形状が特徴。ジェット機やF1のデザインにヒントを得て、空気の流れをコントロールして走行安定性を高めた。前輪のブレを抑える「ダンパー」もフレームに内蔵した。選手が座るシート部分は3Dスキャナーで計測。オーダーメイドで、価格は350万円だ。

 本田技研工業社会活動推進室室長の宮崎光明さん(55)はこう話す。

「グループ内の得意領域を集めて開発に生かし、想像以上のレーサーができた」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年8月5日号