「テレビと違い、われわれのサービスはいろいろなタイプの人間が視聴者。さまざまな観客を持っていることも魅力だと思っています」

 こと日本ではパッケージ市場が強いと言われてきた。しかし、変化の兆しもある。電通メディアイノベーションラボメディアイノベーション研究部長の美和晃さん(47)は、こう説明する。

「動画配信元年から着実にユーザーの裾野は広がってきています。動画配信サービスの会員が増えた背景には、もともとコンテンツにお金を払っていた人が配信を追加したり、移ったりした形があります」

 たとえば、有料放送に月額2~3千円ほど払っていた層が、月額1千円未満でも利用できる配信の良さに気付き、シフトしているというイメージだ。

「映像メディアユーザー実態調査2019」によると、10~60代での各映像メディアの利用率は、パッケージソフトのレンタルが25.9%、有料放送が16.2%。これに対して有料動画配信(定額制、都度課金型、買い切り型のいずれかの利用者)が17.7%で、有料放送を超え、パッケージソフト購入の17.7%と比率が並んできた。このうち、定額制動画配信(SVOD)が14.3%と、有料動画配信サービス好調の要因となっている。(文中一部敬称略)

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年7月29日号より抜粋