リーズナブルなのに脂ののりが最高なビントロのお寿司
リーズナブルなのに脂ののりが最高なビントロのお寿司
名前の由来となったビンナガマグロの胸びれはどれぐらい長い?
名前の由来となったビンナガマグロの胸びれはどれぐらい長い?

 回転寿司の人気メニューのひとつにビントロがあります。トロと名乗っているだけあって、十分に脂がのっていてとてもおいしいのですが、その値段は非常にリーズナブルです。

名前の由来となったビンナガマグロの胸びれはどれぐらい長い?

 よく「ビントロ」という魚がいるものと勘違いされている方がいますが、これは、ビンナガ(ビンチョウ)マグロというマグロの一種のトロの部分のことです。

 ビンナガマグロは、体長100センチ前後、重さ40キロ程度と小型のマグロの仲間で、他のヒレに比べて胸ビレがとても長く、胴体の半分以上の長さになっています。もみあげを表す「鬢(ビン)」が「長い」ように見えることからビンナガマグロと呼ばれています。

 大型で味がよく、高級なクロマグロやインド(ミナミ)マグロに比べて、全世界の熱帯から温帯の海域で比較的多く捕れるため、元々はツナ缶の原料などに使用されていました。実際、ヨーロッパなどでは、加熱調理するとまるでチキンのような味わいになるため、「Chicken of the sea」とも呼ばれています(ひっくり返すと「シーチキン」ですね)。

 回転寿司が世の中に普及するに伴って、お客様に飽きずに通っていただくため、回転寿司業界として、メニューのバリエーションを増やすことが必要になりました。そんな中で、ビンナガマグロの脂の乗った部分を使って「ビントロ」が開発されました。今ではスーパーにも並ぶまでに普及しています。

 こういった経緯で生まれた寿司ネタなので、高級なお寿司屋さんではまず見ることのないネタですが、寒冷地で捕獲された魚体は十分に脂が乗っていて、口の中でとろけるおいしさです。

 この「ビントロ」のように、回転寿司業界が最初に開発して世の中に普及させたお寿司のネタとしては、他にも「サーモン」があります。

 くら寿司で常にトップを争う人気のネタであり、「トロサーモン」や「健康オメガ3サーモン」、「厚切りサーモンいくら添え」などさまざまなアレンジメニューもあるサーモンも、実は回転寿司業界が、メニューのバリエーションを増やすために開発して普及させたものなんです。

 そのため、ビントロと同様に高級寿司店ではあまり見られませんが、脂の乗ったサーモンは、甘みがあり、魚特有の臭いも少ないことから、特にお子様や女性に人気です。サーモンの開発にまつわるあれこれは、また次の機会に紹介させていただきますね。

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◯岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、18年12月から「くら寿司株式会社」広報担当

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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