岡田:わかる、わかる。
峯田:いまの日本の状況もあると思います。不景気だし、余裕もなくなってきている。そういう時にファンタジーが見たいなと思うんです。子どもからお年寄りまで楽しめるんだけど、なんかこのポイント、ここのトーン、なんで暗いんだろう、って部分があるとさらにグッとくる。もちろんリアルを追求することも必要で、つらいことだけど、自分でもそっちを作りたいとも思うし。自分のなかでもA面とB面があるんです。
岡田:峯田君は役者と音楽の仕事をどう振り分けてるの?
峯田:音楽は自分が監督でプレーヤーでプロデュースをするもの。でも役者は監督がいるので自分はプレーヤーに徹することができる。だからお芝居では監督の望んでいるものに近づきたい、という楽しみがあります。
岡田:僕は「奇跡の人」も「ひよっこ」も峯田君が物語の中にいてくれたら物語に「芯」ができると思った。それで出演をお願いしたんです。これからも役者、続けますか。
峯田:そればかりだと音楽ができなくなっちゃうので。でも役者をやると朝早いんで、健康的になるし、弁当も出るし、人としての「気」が強くなる気がします。音楽だけを延々、悶々とやってるとそれがなくなるんですよ。そういえば岡田さん、最近、新譜でいいのありました?
岡田:スネイル・メイル、すごくよかったよ!
峯田:やっぱり? 僕ら二人で話す時はだいたい音楽の話ですよね。好きな音楽も映画もすごく合うから同級生だったらめちゃ話が合ってると思う。
岡田:この間も「これ聴いた?」ってレコード交換したもんね。
(フリーランス記者・中村千晶)
※AERA 2019年7月8日号より抜粋