・Aちゃん(1歳6カ月)


夜中に起きてその後、なかなか寝てくれない日が続いていました。眠たいせいもあり保育所でも機嫌が悪いことが多いです。お母さんに起きたときの子どもの様子を聞いてみると、「起きたらスマホを見て、おやつを食べています」とのこと。「お母さん、それは完全に覚醒しています。今日もし夜中に起きてぐずって何かほしがったら、湯冷ましだけ与えてまた寝かせてください」とアドバイスすると、翌日「先生、すぐに寝てくれました」との報告。その日以来、夜中になかなか寝ない日はなくなりました。

・Bちゃん(2歳)
保育所に入所する1歳半まで、ずっとスマホを見て育ってきました。入所時、人と目が合わない、表情が乏しい、大人の意思が伝わらない、意味のある言葉を発しない、歌だけはよく聞いているので歌えるという状態で、半年続きました。保育中は、Bちゃんとの関わりの中で言葉を一つ一つ大切に伝えました。同時にお母さんに「こんな遊びを楽しそうにしていたよ」という話を毎日しました。そうしているうちに、ため込んでいたのか、言葉がシャワーのように溢れ出しました。乏しかった表情は最高に豊かになり、お母さんの子どもへの関わり方も変わりました。

 この2つの事例を経験して感じたことは、親は、決して楽をしようとしているのではなく、「子育ての方法を知らなかった」だけなのです。これだけ情報がたくさんある社会なのに、本当に必要で有益な情報を得ることができずに、悩んで「スマホに育児を任せてしまっている」親がどれほど多いのか、と感じます。

●ルールを明確にして利用を

 スマホ育児に関して、「絶対の悪である」というエビデンスがあるわけではないので、善悪を私は語れません。しかし、スマホを使いすぎると毎日の生活において問題が出てくる、とは感じます。それは、我が子で実感しています。

 ここからは、お恥ずかしながら、我が家の子どもとスマホ事情についてです。私自身がスマホを持ったのは、周りの友人が皆スマホになって、連絡方法などが徐々に変わってきた5年前でした。ですので、それまでうちの子はスマホを触る経験がほぼなし。スマホに依存しては困るので、私も手軽に触らせることはしませんでしたが、息子が中学生になり自分のスマホを持った途端にその状況ががらりと変わりました。いわゆる「スマホ依存」になったのです。スマホ依存になったらどんなことが起きたか?

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訳のわからないイライラ