ソニン:わかります。自律神経がやられちゃいますよね。若いころ私も本番中に、頑張ろうと思っているのに、立とうと思っても立てなかったことがありました。その舞台は完走することができましたが、気合だけでは成立しないことを実感しました。

柚希:お仕事をいただけるのは本当にありがたいですが、私は作品を並行して準備しなくてはいけない状況は避けたいんです。公演と次の稽古が重なると、公演中の作品が大切すぎて次の作品に向き合えないの。それでも歌稽古や音取りはしなくてはいけないんですが魂が入らない。それで心がポッキリ折れた経験があります。

ソニン:私が立てなくなった時は3作品が並行していたんです。でも、自分の限界に近い状況で出演した時ほど多くの方に認められるってこともあり、忙しいほど評価されるのか……ってなりました(笑)。

柚希:行き詰まったよさもあるのかもしれないね(笑)。

ソニン:そうなんです。ちょっと悔しいんですけど。柚希さんは本番までの稽古期間は、願わくばどれくらいほしいですか。

柚希:2カ月あったらいいな。1カ月後が本番くらいの気持ちで手直しのできる1カ月があると、お客様の前に出る前に調整できる。宝塚では2週間で本番を迎えたことも。

ソニン:えぇ!? 怖い~。

柚希:今でも夢を見ますよ。初日前に、セリフを覚えてないのに初日を迎える、という夢。

ソニン:私もあります。

柚希:舞台人は大体その夢を見るよね。すっぴんなのに開演5分前とか(笑)。でも、一番大切なのは健康とハッピーな心。この作品では、その思いを深く込めてやろうと思います。

ソニン:本当にそうですね。私はなぜ舞台に立っているかと言えば、世の中を変えたいという思いがあるからなんです。エンターテインメントや芸術を通して世の中が変わっていけばいい。舞台は大体1日1、2回の公演。限られた人数しか見られません。だけど、その人たちが私たちのメッセージを受け取り、強い確信に変わったり、勇気づけられたりすることで何か行動が変わればいいなと思う。

次のページ