柚希:ソニンさんとは初共演ですが、舞台を見ていても話を聞いていても私と似てるなとの思いを強くしています。私は宝塚で育ったので、周りに背が高くてカッコいい女性たちがたくさんいたわけですが、ソニンさんは背が高いわけでも、男っぽいわけでもないのにカッコいい。

ソニン:私も柚希さんに似ている部分を感じているんですが、柚希さんは宝塚のトップスターだった方。私とは全く違う環境で力をつけていらしたので驚くことばかりです。例えば、男性を研究してどう作り上げるのか、性を超えたアプローチをずっとしてこられた。引退してから小柄に見せることに努力してきたというお話にも驚きました。今回柚希さんにはどんな刺激をいただけるのか楽しみです。

柚希:私も楽しみです。私はミュージカルが一番好き。急に歌い出すから嫌い、という方もいらっしゃるとは思いますが、物語性があって、映画やドラマを見ているように感情が高ぶる時に歌が出てくると思うんです。ミュージカルと意識せずに、物語や心情に共感する場だと思っていただけたら。

ソニン:私もミュージカルが一番好きです。アイドルも歌手も映像もバラエティーもやってきましたが、ミュージカルが一番のエンターテインメントだと思っているんです。全ての要素が「生」で最初から最後まで3時間止まらずに行われている。衣装、技術、美術、照明……。役者も含めてみんなが稽古して、1ミリも失敗が許されない計算された舞台が、毎日生で行われてるスゴさと言ったらない。それを体感するとハマっちゃいます。

柚希:それにしても私たちが揃うとすごく圧が強いね(笑)。

ソニン:19世紀半ばに女性が先頭に立って声を出すのはすごく大変なこと。それなりの勇気やエネルギー、パワーが必要です。そんな人物たちを演じるには、俳優がその力を持っていないといけない。まさに私たちにぴったりじゃないですか(笑)。

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2019年7月1日号