佐藤さんによれば、全国の警察が公表する不審者情報の数は、18年5月に新潟市西区で小学2年の女児が23歳の男に殺害され線路上に遺棄された事件後、一気に2倍に増えた。そして今年5月の川崎市の殺傷事件を機に、さらに倍増したという。同センターが5月に配信した不審者情報は計3475本。6月は15日時点ですでに約2千本と、前の月を上回る勢いだ。

 多いのは、声かけ、つきまとい、露出、痴漢──の四つ。なかでも川崎の事件を受け、刃物を持っているという不審者情報メールが増えたという。

 同センターが5月1日から6月10日までに配信した不審者情報の件数を調べると、大阪は564件と断トツに多い。ただこれは、警察が積極的に公表しているかどうかによるところが大きい。つまり、不審者の情報を積極的に共有しようとすれば、メールの件数は多くなる。佐藤さんによれば、積極的に公表しているのは大阪と兵庫。また静岡、愛知、神奈川、埼玉、広島なども比較的アクティブだ。反対に、まったく積極性を感じないのは千葉だという。

 こうしたメールは安全度を知るバロメーターとなり、先の女性や学校のように犯罪の未然防止として役立てることができる。(編集部・野村昌二)

AERA 2019年7月1日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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