それを聞いて、思わずニッコリしてしまった。お二人の対等な関係が伝わるように思ったのだ。雅子さまのユーモアあるご提案。

 上皇さま美智子さまはいつも一緒に行動された。そして、美智子さまは、必ず上皇さまの後ろを一歩下がって歩かれる。そんなイメージがある。昭和一桁生まれ同士にとって、それが当たり前だろう。

 だが、天皇陛下と雅子さまは1960年代生まれ同士。雅子さまは一歩下がるスタイルではないはずだと思っていた。「今夜、お弾きになられたら」は、大げさに言うなら、皇室に吹く新しい風のように感じられた。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2019年6月10日号より抜粋

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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