同日、歓迎行事を終え、回廊を歩く皇后陛下とメラニアさん。皇居・宮殿で(代表撮影)
同日、歓迎行事を終え、回廊を歩く皇后陛下とメラニアさん。皇居・宮殿で(代表撮影)

 5月27日午前9時過ぎ、皇居・宮殿の南車寄せで天皇陛下(59)と並ぶ皇后雅子さま(55)は、アイボリーの三つボタンのスーツに同じ色の帽子、真珠のネックレスをされていた。陛下の左隣に立ち、トランプ大統領(72)と妻のメラニアさん(49)を待っていた。

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 夫妻が到着し、真っ赤なネクタイをした大統領が陛下と握手をする間に、雅子さまは陛下の右隣へと移動した。陛下との握手を終えた大統領は、次に雅子さまと握手を交わした。大統領はまっすぐ手を伸ばして雅子さまと向き合う形になったので、そのために移動されたのだとわかった。

 東庭での歓迎行事の間も、会見する「竹の間」への移動でも、雅子さまは隣にいるメラニアさんに折に触れて声をかけられた。

「こちらですよ」
「前に進みましょう」

 聞こえてきたわけではないが、メラニアさんが慣れない儀式で戸惑わないよう、そんなふうに気配りの声をかけているように見えた。

 10センチは優にありそうな真っ赤なピンヒールを履いたメラニアさん。真っ白なワンピースだったから、日の丸を意識したのかもしれない。そんなメラニアさんに、雅子さまは何度も右手を差し出した。腰に手を回すようなしぐさで、堂々とした中に優しさの感じられるエスコートぶりだった。

 会見は音声なし、映像だけの中継だったが、雅子さまとメラニアさんの後ろに座った通訳が手持ち無沙汰にしていたから、雅子さまが英語で話したことがわかった。

 宮中晩餐会でも雅子さまは、お疲れの様子もなく、はじけるような笑顔を何度も見せた。

 ノースリーブのロングドレスに透ける素材のロングスリーブを重ね、そこには花があしらわれていた。アメリカの国花のバラで、相手の国を思ってのことであり訪問国の国花をあしらった装いや国旗を基調にした装いをしていた美智子さまの心を引き継がれたもの。そう解説するテレビ局もあった。

 NHKの午後7時からのニュースは晩餐会を中継したのだが、始まるまでの時間、陛下と雅子さまのあるエピソードを紹介していた。午前中の会見で行われた「御贈進品」の交換で、トランプ大統領から陛下に80年以上前に作られたビオラが贈られた。その際、雅子さまが「今夜、お弾きになられたら」と言ったというのだ。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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