仮に、まだ全然息子から離れるつもりがなかったとしたら、「息子が大学に入ったんですけど、今後いい就職先を見つけられるか不安です」っていう悩みになります。

 これは「支配」であり、依存関係になってしまっている場合です。溺愛が悪い方向にいってしまったのが、いわゆる「毒親」です。自分の夢を子どもに託している人たちです。その原点のどこかに憎しみがあって、自分がこういう目にあったのは親のせいだ、子どもにはそうなってほしくない、と思っている。

 毒親には自分の理想像があって、例えばテストの点数が良かった話は喜んで聞きますが、友達とサッカーやって服が汚れちゃったっていう、自分が不快になる話は無視する。これが子どもにとっては無言の圧力になります。子どもが自分の趣味で買ってきた服にもケチをつけますよね。「なにそれ全然似合ってない」って。これが支配です。

 息子さんが一人暮らしを始めたり、友達と一緒にいる時間が増えたりして、顔つきからあどけなさがだんだん失われていく。寂しさもあると思いますが、支配ではないお母さんの愛情に、息子さんはもう気づいていると思います。

 息子さんが連れてくる彼女、あなたといい友達になれる人だと思いますよ。へー、やるじゃないの、って。

AERA 2019年5月27日号

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しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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