教科担任制を導入した英語の授業の様子。一部の小学校では独自に制度が導入されている。本格導入には教員の免許や養成など、検討課題も多い (c)朝日新聞社
教科担任制を導入した英語の授業の様子。一部の小学校では独自に制度が導入されている。本格導入には教員の免許や養成など、検討課題も多い (c)朝日新聞社
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 小学校高学年の一部の教科を「教科担任制」にする動きが全国で広まりつつある。20年度の教育改革への対応や、小学校教師の過重労働軽減などのメリットもあり、現場からは歓迎の声があがっている。

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 小学6年の「総合的な学習の時間」での新聞作り。女性教師(30)は普段よりも入念な準備をし臨んだ。すると、子どもたちの食いつきは違い、他の教師も認めるほどの出来ばえだった。

「学びの質が変わった手応えがありました」

 納得いく授業準備ができたのは、同学年の教師で、独自に「教科担任制」を導入したからだ。一部の教科を、担任以外のクラスも横断的に教えるようにした。

「普段は10教科近くを準備しなければならないのですが、2教科減っただけでこんなに個別の授業の準備にかけられる時間が増えるのかと思いました」

 中学校では一般的な、専門の教師が教科ごとに教える「教科担任制」。小学校でもすでに一部導入している学校はあるが、それが5、6年生について全国一律で始まるかもしれない──。4月、柴山昌彦文部科学相が中央教育審議会に「新しい時代の初等中等教育の在り方について」諮問。2020年末の答申を目指している。

 背景に、20年度からの5、6年生の英語の教科化と、プログラミング教育の必修化がある。加えて小学校教師の約3割が過労死ラインを超え働いている現状を受け、過重労働を軽減する狙いもある。

 冒頭の女性教師は教科担任制の導入を熱望するが、保護者からも歓迎の声は上がる。小学3年の子を持つ女性(39)は英語の公開授業を見学し不安を覚えたからだ。

「授業は外国人のALT(外国語指導助手)の先生が行っていましたが、授業終わりに子どもたちが“Thank you very much.”と挨拶すると、日本人の担任が“You are welcome.”と返したんです。『どういたしまして』って変ですよね? 例えば“Well done, everyone.(皆さん、良くできました)”とか、文脈に沿った適切な表現は他にあると思います」

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