「5月に入れば令和の祝賀モードで、5月末にはトランプ大統領が来日。6月に大阪で開かれるG20では安倍首相がホストを務め、テレビは安倍首相一色。野党が出る幕もなく、自民党の支持率は上がるでしょう。リスクを冒してまで衆参ダブル選挙をする必要はないのでないか」

 それでも、自民重鎮などからは、衆参ダブル選挙を推す声が上がっている。安倍総理と近い亀井静香・元金融担当相は8日の「深層NEWS」(BS日テレ)に出演し、「安倍首相がバカではない限りはやる」と発言。同じ番組に出演した古賀誠・元幹事長も「このタイミングを逸したら、解散を打って出るタイミングは難しくなるんじゃないか」などと話している。自民党の閣僚経験者はこう話す。

「安倍総理が消費税増税前に解散できなければ、次のタイミングは東京オリンピックの後になるだろう。それでは任期いっぱいまで務めてもレームダックだ。憲法改正も無理だろう」

 衆参ダブルに打って出るのか、出ないのか。安倍総理の本心はどこにあるのだろうか。

 今年1月、衆参ダブル選挙にいち早く言及した人物がいる。安倍総理の盟友として知られる甘利明・選挙対策委員長だ。永田町関係者は「甘利の発言は安倍総理の意向と考えて間違いない」と断言する。

「首相は甘利氏を経済閣僚などで起用したいが、過去のスキャンダルを追及されることも考え、選対委員長にした。ただこれは消去法的な人事ではなく適材適所。安倍総理は自分で選挙を仕切りたいが、二階俊博幹事長に言えない。そこで二階幹事長の同期の甘利氏を使っている」

 政治評論家の森田実さんも衆参ダブル選挙になると見ている。今の野党ではどう見ても政権交代など望めないからだという。

「党利党略で解散する不意打ち選挙では野党は候補者を揃えられず、勝てるわけがない。衆参ダブルとなれば、なおさらだ」

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2019年5月13日号より抜粋