先立って行われた「剣璽等承継の儀」の皇族の参列は、皇位継承権を持つ成人の男性皇族に限られた。秋篠宮さまと常陸宮さまのほか、三権の長や閣僚ら26人が参列した。

 皇居宮殿の南車寄(くるまよせ)では、午前9時46分から参列者の参入(さんにゅう)が始まった。

 宮殿東庭の石畳は昨晩の雨もすでに乾き、晴れ間が広がる。肌寒かった前日とはうってかわって暑さを感じるほどだ。報道ヘリのローター音と、小鳥のさえずりが対照的に響き合う。

 河野太郎外相を皮切りに、憲政史上初の女性の参列となった片山さつき地方創生担当相、世耕弘成経済産業相、大島理森衆議院議長、大谷直人最高裁長官らが次々と黒塗りの車で到着。

 10時1分には安倍晋三首相夫妻が着き、前日と同様に宮殿の入り口で立ち止まって一礼し、中へ入った。

 一方、新天皇陛下を乗せた車は午前10時前、半蔵門に到着。集まった約500人の人々から、「陛下!」「天皇陛下万歳」などの声が上がった。

 午前10時半すぎ、宮殿「松の間」に燕尾(えんび)服に身を包んだ天皇陛下が入場。陛下の前に、剣と勾玉、御璽と国璽が置かれ、約5分間かけて「剣璽等承継の儀」が行われた。

 皇后雅子さまを乗せた車は午前10時50分ごろ、皇居に到着。集まった人たちから上がった「雅子さまー!」という歓声に手を振ってこたえ、代々皇后に伝わるティアラを身につけ、晴れやかな笑顔を見せた。

 午前11時10分すぎ、天皇陛下はローブ・デコルテをまとった皇后雅子さまとともに再び松の間に。先ほどの閣僚や国会議員、地方自治体の首長ら約300人が参列するなか、「即位後朝見の儀」が行われた。

 陛下は「日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました」と宣言。「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と即位後初めての「おことば」を述べた。力強く明晰な口調から、どっしりとした風格が感じられた。

 続いて安倍首相が「国民を挙げて心からお慶(よろこ)び申し上げます」と述べた。

 経済の停滞や格差などの「宿題」を抱えてはいるものの、昭和天皇の逝去とともに始まった「平成」とは違い、「令和」は明るく前向きな空気の中で幕を開けた。

 新天皇、新皇后とともに、私たち主権者は昭和、平成に続く「3代目の象徴天皇制」をつくり上げていくことになる。(編集部・小長光哲郎)

平成から令和に変わる2日間の日本列島の様子は、5月15日発売のAERA増刊「ドキュメント 新天皇誕生」にて詳報します。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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