マシュー・チョジックさんによる『マシューの見てきた世界 人生に退屈しないためのとっておきの21話』は、日本、アメリカ、旅行で訪ねたベトナムやパレスチナなどでの体験を綴った自伝的エッセー集。著者のマシューさんに、同著に込めた思いを聞いた。
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日本文学の研究者で日本テレビ「世界まる見え! テレビ特捜部」に出演中のマシュー・チョジックさんが初めての著書を出した。日本の暮らし、アメリカでの子ども時代、北京でパトカーに乗り、ベトナムの若者とカラオケで歌い、イスラエルで自分のルーツを考えたことなど、21編のエッセーが収められている。
「外国人として日本で生活しているから気づくこともある。新しい世界に飛び込もうとしている人、いつか飛び込む人に読んでもらいたいですね」
マシューさんが生まれ育ったコネティカット州は、東京がニューヨークとすると栃木県くらいの距離にあり、街のいちばんおしゃれな場所はマクドナルドの駐車場だった。ヤンキーもぞろぞろいた。
「両親はヒッピーで音楽が大好き。子どものころは教育学の博士だった祖父の家によく行っていました。祖父はマクロビアンだったので、普段から和食を食べて緑茶を飲んでいたんです」
中学2年で学校がいやになったとき、国語の先生からカート・ヴォネガットの小説をすすめられ、中2病のまま大人になったヴォネガットにひかれて文学少年に。日本文化に本格的にはまったのは、初デートでみた「Shall we ダンス?」や北野武監督の映画がきっかけだった。
「将来、たけしさんとテレビで共演してトイレをシェアすることになるとは、まったく想像していませんでした。すごくラッキーな人生です」
本著を執筆する前は「源氏物語の逆輸入」をテーマに博士論文を書いていた。100年ほど前に英訳された源氏物語は、その数年後に日本で再翻訳され、ベストセラーになったという。
今回は初の著書とあって原稿には時間をかけた。千葉の御宿海岸で趣味のサーフィンをしているときも、海上で波を待ちながら本のことを考えた。波と共にいいアイデアがやってくると走って旅館に戻り、書き留めた。