ロボアドバイザー投資の中から、リスク控えめのプランがすべての利用者に一律に適用される予定だ。値動きの変動が少ないので、ビギナーでも貯蓄に近い感覚で利用できるという。

「10万円でも1万円でも、怖いと感じる人に必要なのは投資での成功体験です。少額で投資しているうちは手数料が高いと成功体験を得ることが難しいので、思い切って当初1年間はすべての手数料を無料にしました」(甲斐CEO)

 ワンコイン投資は、すでにテーマ投資で提携する「LINEスマート投資」を通して提供する。積み立ては500円から、500円単位で金額を指定する。積み立て頻度は週1回、5回(平日だけ)、7回(毎日)から選ぶので、実質的には月2千円からの投資となる。引き落としはLINE Payの残高か、連携している銀行口座から直接引き落とすこともできるので、入金まで自動化が可能だ。

 日本証券業協会の調査によると、個人投資家の過半数が60歳以上のシニア層だ。こうした中で、ストリームは20~30代が5割、フォリオでは6割に達するなど若年層の取り込みに成功している。1千円から個別株投資ができるワンタップバイは、投資未経験者が顧客の8割を占めるなど新しい投資家層の開拓に成功しているが、投資へのハードルを下げたことに伴う別の課題にも直面している。

「1千円で株主になる体験をした後、そのまま何カ月もログインしないユーザーが一定割合でいます。1千円投資して終わりでは、本来の目的である資産形成にはつながらない。投資を継続してもらうため、もう一段の働きかけが必要だと感じています」(ワンタップバイ林和人CEO)

 同社では個別の米国株を対象に、銀行口座から直接引き落として1千円から積み立て投資ができる「積み株」というサービスを提供しているが、19年5月からは米国に上場する高配当銘柄に自動で投資し、安定した配当を受け取り続けることを目指す新サービス「ロボ貯蓄」の提供をスタートする。

「これまで『簡単に』『少額から』の投資に注力してきましたが、さらに手間をかけずに放っておけたり、より貯蓄に近い感覚で利用したいといったニーズに応えていきたい」(同)

 未経験者や資金に乏しい若年層を取り込むスマホ証券は、貯蓄一辺倒の日本人を投資で豊かにすることができるのか。(ライター・森田悦子)

AERA 2019年4月8日号より抜粋