草なぎ剛「仕事があるか不安だった」西加奈子原作映画で新境地へ 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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草なぎ剛「仕事があるか不安だった」西加奈子原作映画で新境地へ

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坂口さゆりAERA
草なぎ剛(くさなぎ・つよし、左):1974年、愛媛県生まれ。映画「黄泉がえり」「日本沈没」、ドラマ「いいひと。」「僕シリーズ3部作」、舞台「蒲田行進曲」など多くの大ヒット作に主演/西加奈子(にし・かなこ、右):1977年、イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』でデビュー。15年『サラバ!』で第152回直木賞を受賞。『まく子』は文庫版(福音館文庫)も発売中(撮影/篠塚ようこ)

草なぎ剛(くさなぎ・つよし、左):1974年、愛媛県生まれ。映画「黄泉がえり」「日本沈没」、ドラマ「いいひと。」「僕シリーズ3部作」、舞台「蒲田行進曲」など多くの大ヒット作に主演/西加奈子(にし・かなこ、右):1977年、イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』でデビュー。15年『サラバ!』で第152回直木賞を受賞。『まく子』は文庫版(福音館文庫)も発売中(撮影/篠塚ようこ)

「まく子」/大人になりたくない少年が、不思議な美少女に恋をした。彼女には大きな秘密があった。出演:山崎光、新音、須藤理彩/草なぎ剛 監督・脚本:鶴岡慧子 3月15日から全国順次公開中 (c)2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)

「まく子」/大人になりたくない少年が、不思議な美少女に恋をした。彼女には大きな秘密があった。出演:山崎光、新音、須藤理彩/草なぎ剛 監督・脚本:鶴岡慧子 3月15日から全国順次公開中 (c)2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)

 西加奈子原作の映画「まく子」が全国公開中だ。主人公の父親役を演じて新境地を開いた俳優・草なぎ剛と原作者が、作品や役作りについて語り合った。

*  *  *
 映画「まく子」は、思春期に戸惑う少年の初恋を軸に描いた奇跡のファンタジーだ。

 ひなびた温泉街の旅館あかつき館の息子・サトシ(山崎光)は小学5年生。思春期の体の変化に戸惑う彼は、同級生の女子たちの変化に戸惑い、同級生の男子たちの幼さに引いている。何より女好きで浮気をしているらしい父・光一(草なぎ剛)に反感を覚えていた。ある日、あかつき館に母娘が住み込みでやってきた。娘のコズエ(新音)は美少女だがちょっと変わった雰囲気をもつ女の子。サトシのクラスの転入生となった彼女に誰もが憧れ、次第にサトシも魅了されていく。彼女が、やがて町の人々にまいたものとは──。

西加奈子:『まく子』が映画化されると聞いた時は嬉しい以外の言葉がありませんでした。草なぎさんにはいつ頃ご出演のお話があったのですか。

草なぎ剛:お話をいただいたのが一昨年、ちょうど僕らも環境が変わった頃でした。新しい出発となる「新しい地図」プロジェクトがスタートし、「一から頑張る!」と思っていたんですが、一方で「仕事があるのかな」という不安があり、だからお話をいただいた時はホッとして、「それはもう、やりますよ!」という感じでしたね(笑)。とにかく声をかけてくださったことに感謝という思いでした。

西:憎めないダメ親父、とっても存在感がありました。今までとは違う役への取り組み方などはありましたか?

草なぎ:今回は出てきた時にやりすぎないくらいで、ちょっとインパクトがあるようなさじ加減を探っていたんです。普通に演じて「出てたの?」みたいに思われても困るし、やりすぎれば「意識し過ぎて、やりすぎているんじゃないか」みたいに思われそうでしたから(笑)。鶴岡慧子監督から怒られない程度に、ちょっと「ヘンな雰囲気」を出してやろうという気持ちでした。西さんは映画をどうご覧になりましたか。

西:私自身、映画そのものが大好きで、原作者としてじゃなく、一観客として楽しませていただきました。時々「このセリフ、知っているな」と思うぐらいで(笑)。そして、草なぎさんは「こんなにセクシーな方やったんや」と、本当にびっくりしました。尊敬できへんけど「イイヤツ」、みたいな人っているじゃないですか。それが書きたいことでもあったので、その感じが本当に出ていました。

草なぎ:ありがとうございます。セクシーだなんて言われるのは初めてです。そういう年頃になってきたのかもしれませんね。「ダメな感じが板につく」というか(笑)。年を重ねた時に、「カッコいいね!」と言われる男性を目指したい。男にはそんな気持ちがあります。なので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。僕の新しい扉が開けたかなと思っています。せっかくだから、光一の長編か何かを西さんに書いてもらって、スピンオフ作品を鶴岡さんに撮ってもらいたいな(笑)。

西:ふふふ。どうやってお父さん役を演じられたんですか?

草なぎ:想像で演じました(笑)。世の中、尊敬されない親父ってたくさんいるのでそんなイメージで。光一は女性にだらしがない性格ですが、僕も共感できる部分があったんです。男なら女性を見て「かわいい子だな」とか「隙あらばいいことないかな」なんてことを考えますからね(笑)。そういう男が持っている欲望のようなものを、うまく表現できたらなと思っていました。

西:草なぎさんは映画の世界の中で、きちんと存在されていらした。すごくナチュラルで「役作りしてます」みたいな感じではなかったです。俳優さんってすごいですね。草なぎさんとは2回しかお会いしていませんが、こんなお顔をお持ちなんだ、と思いました。

草なぎ:そのお褒めの言葉を胸に抱いて、これからも頑張っていきます(笑)。でも、そもそもこの小説をお書きになったきっかけはなんだったんですか。

西:男の子を主人公にしてみたいというのと、私も変化していく、朽ちるということが正直、怖かったんです。死ぬのはイヤやし。でも、朽ちていくことや年を取ることは正しいことなんですよね。一方で、私は賛成も反対もないんですけど、原発やすごく硬いプラスチックとか、「人間が生きている間に人間に手に負えないものを作るって結構、怖ない?」と思って。きちんと朽ちていくとか壊れることが大切なのかもと思っていたので、それを書いた感じです。

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2019年3月18日号より抜粋


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